カンボジア男性「家事は女性がやって当たり前!」、それでも女性は怒らない!?

プサールー市場で夫婦で豚肉屋を営むナオイさん(左)と夫マオさん(右)。「長年一緒にいるから喧嘩もしなくなったの」と仲良く笑いあうカンボジア・シェムリアップのプサールー市場で夫婦で豚肉屋を営むナオイさん(左)と夫マオさん(右)。「長年一緒にいるから喧嘩もしなくなったの」と仲良く笑いあう

カンボジアの男性は、料理や洗濯、掃除などの家事をやらない。それでも女性は怒らない。カンボジア・シェムリアップのルー市場(パサールー)で働く女性を取材したところ、夫は家事をしない分、別の仕事をしてくれるので、夫婦間の仕事のバランスは平等であると考えているということが浮き彫りになった。

■「夫が家事をやらなくても不公平じゃない」

家事は女性がやって当たり前、という考えをもつのは、ルー市場で魚屋を営むニモールさん(35歳、男性)。「おれの仕事は魚を売るだけ。家事はすべて妻任せだ。女性が働くのは良いことだよ。でも家事を全部こなして、仕事までするなんて、とても難しいことだ」と本音を明かす。

カンボジアでは伝統的に家事は女性の仕事だ。ルー市場で豚肉屋を夫婦で営むナオイさん(41歳、女性)は「夫が家事をやることは滅多にない。でも夫は、買い付けた豚肉を市場まで運ぶ、私にはできない力仕事をやってくれている。だから夫が家事をやらなくても不公平じゃないでしょ」と話す。

■「女性が家事・男性は仕事」は平等か?

ただ「家事は女性の仕事」という見方に懐疑的な声もある。ルー市場で野菜を売るダネットさん(17歳、女性)にはバイクタクシーの運転手の父と、畑を耕し、自分で育てた野菜を一緒に売る母がいる。母は毎日の家事もこなすという。

ダネットさんによると、父はバイクタクシーの仕事が休みの日、畑作業は手伝うという。しかし家事はごくたまにしかやらない。料理をしても、洗い物はしない。

「両親が喧嘩をしたとき、お父さんがお母さんに強い言葉を吐いてお母さんを泣かせた。私は、すべての家事をするお母さんは外で働くお父さんと対等な力をもつと思っていた。でも結局、お父さんのほうがお母さんよりもえらいんだと気づいた」(ダネットさん)

■仕事と家事の両立を支えるのは別の女性

仕事と家事の両立は市場で働く女性にとって簡単ではない。友人や家族に頼る場合も多いようだ。

豚肉屋のナオイさんが外で働けるのは、古くからの友人3人に家事をやってもらっているからだ。ナオイさん夫妻には4人の子どもがいる。夫妻は、友人に食べ物と寝室を与える代わりに、子どもの世話と仕事の手伝いをしてもらっている。

市場で香辛料を売るニットさん(39歳、女性)には2歳の息子と17歳の娘がいる。2歳の息子の面倒は、17歳の娘に見てもらっている。