~24人・20の国籍の生徒たち~フランスの移民を題材とした映画「バベルの学校」、1月31日から日本で公開

東京での劇場公開は1月31日より、新宿武蔵野館と渋谷アップリンクで。その後、全国各地で上映予定。写真は“適応クラス”の学生たち(バベルの学校公式サイトより)“適応クラス”の学生たち(バベルの学校公式サイトより)

1月7日に起きた週刊新聞「シャルリー•エブド」本社襲撃事件、また近年の失業率上昇で、移民やイスラム教徒に対する風当たりがますます強くなることが予想されるフランス。そんなフランスに移住してきた子どもたちを主役にしたドキュメンタリー映画「バベルの学校」が1月31日、日本で公開される。

映画の舞台はフランス・パリにある中学校の“適応クラス”。フランス語の集中トレーニングが必要な、移民の子どもたちのためのクラスだ。11歳から15歳までの24人、20の国籍の生徒たちが机を並べる。「バベルの学校」ではこのクラスの1年間を記録している。

クラスの担任であるブリジット・セルヴォニ先生によれば、年間およそ3万~4万人の移民の子どもたちが、フランスで新生活を始める。映画の舞台となった適応クラスは、フランス全土に840校あり、そのうち140校がパリにあるそうだ。生徒たちの境遇は、ネオナチに殺されかけて家族で亡命してきたというセルビア人少年や、家族から虐待を受け親族を頼ってフランスに来た少女、親の都合で南米から移住してきた子どもなど様々である。

監督のジュリー・ベルトゥチェリ氏は、この映画制作のきっかけについて「(適応クラスの存在を知り)近年、ヨーロッパでも人種差別の傾向が強くなっている中で、様々な国の子どもたちひとりひとりの、個性や価値を映し出す作品を作りたいと思った」と話す。映画については「子どもたちにしっかりとした教育を与えれば、きちんと社会の中で生きていけるようになることを描き出している」と語る。

実際、映画の中で、適応クラスの生徒が「普通クラスの生徒たちに、私の話すフランス語をばかにされる」と教室で訴える場面がある。しかし、彼らは、フランスで生きていくために、じっと耐えてフランス語力を磨いていくのだ。最初はフランス語で自己紹介するのもままならなかった生徒たちが、1年後には自分の好きなものや宗教について、フランス語で議論できるまでに成長する。そしてそれぞれの夢に向かって羽ばたいていく。

日本でも、少子高齢化社会の進行による人口の減少を解消するために、政府が移民受け入れの検討を本格的に始めた、と報道されている。内閣府は、出生率を2030年までに2.07まで回復させ、2015年以降、毎年20万人の移民を受け入れれば、100年後でも約1億1000万人の人口を維持できると試算した。この映画の中のようなクラスが、日本のあちこちで見られる日もそう遠くないかもしれない。