送金手数料を5%へ下げると「アフリカ人出稼ぎ労働者の家族が受け取る額は3600億円増える」、世銀が試算

世界銀行は、サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカ向けの送金手数料を現在の平均12.4%から5%に引き下げると、アフリカ人の出稼ぎ労働者の家族が手にできる金額は年間40億ドル(約3630億円)増えるとの試算を発表した。G8 や G20 は2014年までに、5%への手数料引き下げを目指している。

ナイジェリア出身の出稼ぎ労働者が毎月200ドル(約1万8000円)を本国へ送金すると仮定した場合、手数料として引かれるのはおよそ20ドル(約1800円)だ。この金額は、ナイジェリアでは3キログラムのコメの値段に相当する。手数料が半分以下になれば、およそ1.5キログラムのコメが余分に買えることを意味する。これは4人家族の1週間分の夕食代になる。

海外送金の手数料を地域別に比べると、アフリカ全体でも約12%と高いが、世界で最も高いのはサブサハラ(12.4%)だ。とくに南アフリカ、タンザニア、ガーナはそれぞれ20.7%、19.7%、19.0%と、世界平均の8.96%を大きく上回っている。ちなみに手数料が世界で最も安いのは南アジアの6.54%。

世銀によると、3000万人のアフリカ人出稼ぎ労働者が2012年に、本国へ送金した金額は600億ドル(約5兆4400億円)。受け取ったのは、出稼ぎ労働者の家族1億2000万人だった。この送金のおかげでアフリカの人たちは、子どもの教育や食料の確保、保健サービスへのアクセスなどが可能になっている。(今井ゆき)