バレンタインデーの裏でガーナの子どもの涙、女子高生が訴える児童労働のひどさ

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チョコレートをあげる人も、もらう人も心が躍るバレンタインデーが近づいてきた。大切な人に愛を伝えあうこの日だから、すべての人が笑顔であってほしいもの。だがチョコレートの裏に、過酷な労働による子どもの涙があったならば、あなたはどう感じるだろうか。

児童労働の撲滅を目指して活動するNGO「ACE」が2月9日、横浜市のJICA横浜で開催されたよこはま国際フォーラム2013で、「バレンタイン一揆」という映画の上映会と、出演者1人を招いての講演会を行った。

この映画は、ACEの設立15周年を記念して制作されたドキュメンタリー作品。ガーナのカカオ生産地で横行する児童労働を目にした日本の女子高生が、日本で自分たちのできることをしようと立ち上がり、行動を起こす物語だ。

映画の主人公は、ごく普通の日本の女子高生3人。ガーナのカカオ生産地で、子どもと同じ労働を体験したり、児童労働をなくそうと奮闘中の村を訪れたりする。その中で彼女たちは、今まで自分たちが日本で何気なく手に取っていた商品が、実は児童労働に加担しているかもしれないということを認識する。

心を揺り動かされた彼女たちは帰国後、日本でアクションを起こし始めた。まず、ガーナで見てきたことを自らの言葉で周囲の人に伝える。さらに、カカオ生産者の収入がきちんと確保されるよう、バレンタインデーにはみんなでフェアトレードチョコレートを選ぼうという「バレンタイン一揆」を企てたのだ。

映画の主人公のひとり、藤田琴子さんは語る。「チョコレートを消費する自分とカカオ生産者は今まで、自分の中でつながっていなかった。ガーナで見聞きして感じたことをもっと伝えたい。バレンタイン一揆の上映会でいつも思うのは、自分の知り合いに話すことが、一番深く広く伝わるということ。みなさんも、今日のことをまずは周りの人に話してほしい」

この映画を製作したACEは、バレンタイン一揆を見ることで、児童労働の現状を知り、児童労働のない世界を作るためにできることへの一歩を踏み出すきっかけを見つけてもらいたいと考えている。この映画は、東京では1月25日まで渋谷アップリンクで上映していたが、今は自主上映者を募集している。

ガーナでカカオ生産の労働に従事する子どもの数は推定100万人。児童労働がなくならない原因は、教育の重要性に対する親の理解不足だったり、子どもを働かさないと十分な収入が得られない現状がある。こうした問題に対してACEは、ガーナでの支援活動や日本での啓蒙活動、政府への政策提言などを手がけている。(村山奈緒美)