インドの貧困率は22%、18年前から半減

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インド政府計画委員会は7月22日、2011~12年に調査した同国の貧困の状況をまとめた報告書を発表した。これによると、インド全体の貧困率は21.9%、人数にして2億6930万人ということがわかった。貧困の定義は、基準として1日32ルピー(約54円)以下で暮らす人を指す。ただそれぞれの州、また農村部か都市部かによって貧困線の数字は変わる。

貧困率を州別でみると、東部のチャッティースガル州が39.9%と最も高い。このほか3割を超えるのは、ダードラーおよびナガル・ハヴェーリー連邦直轄領39.3%、ジャールカンド州36.9%、マニプール州36.8%、アルナーチャル・プラデーシュ州34.6%、ビハール州33.7%、オリッサ州32.5%、アッサム州31.9%、マディヤ・プラデーシュ州31.6%だ。

貧困率が最も低かったのは、連邦直轄領のアンダマン・ニコバル諸島で1.0%。これに続くのが、同じく直轄領のラクシャディープ諸島2.7%、ゴア州5.0%、ケララ州7.0%、ヒマーチャル・プラデーシュ州8.0%、シッキム州8.1%、パンジャブ州8.2%。連邦直轄領のデリー首都圏は9.9%だった。

貧困率は、農村のほうが高い。都市の13.7%と比べて農村は25.7%。貧困層の数も、都市の5280万人に対し、農村は2億1650万人に上る。

経済成長を背景にインドは近年、貧困の改善で大きな成果を挙げてきた。貧困率の推移をみても、93~94年に実施した調査の45.3%(貧困人口は4億370万人)から、前回(04~05年)は37.2%(4億710万人)、さらに今回(11~12年)は21.9%と、18年間で半分以下に下がった。貧困率が低下するペースも、93・94年~04・05年の11年間は年率0.7%だったが、それ以降の7年間は同2.2%へと加速している。

だが一方で、こうした楽観的な見方に疑問を呈する声もある。経済学者らは「今回の報告には、国内総生産(GDP)成長率が5%程度に落ちた12~13年のデータが入っていない。この部分を含めれば、貧困削減のペースはむしろ下がっているかもしれない」と指摘する。

インドの大衆紙インディアン・エクスプレスの7月24日付記事によると、計画委員会もその可能性を認めているという。

この報告書はまた、貧困率・人口のデータと併せて、各州・連邦直轄領(農村、都市)の1人当たりの平均月間消費支出を掲載した。これによれば、最大は、アンダマン・ニコバル諸島の都市部で4439ルピー(約7400円)。このほか3000ルピー(約5000円)以上は、ハリヤナ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、デリー首都圏、ケララ州、チャンディーガル連邦直轄領の各都市部だった。(阿部幸那)