台風30号が上陸したフィリピン中部、セブ北部の被災者を撮った

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フィリピン中部を直撃した台風30号(ハイエン)で、道路は、倒壊した家屋や木々、電柱で寸断された。水道、電気、電話・インターネット回線といった公共インフラは完全にマヒしている。

最も甚大な被害を受けたのはレイテ島だ。フィリピン赤十字社によると、同島だけで1000人以上が死亡した恐れがあるという。しかし、交通・通信手段が復旧していないため、その被災状況の全容を把握することは現在のところ難しい=写真①②③。

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写真③

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フィリピン気象庁の観測域を台風が抜けた翌日の11月10日、観光地として知られるセブ島の北端を訪れた。8日正午ごろ、レイテ島を通過した台風30号が直撃した地域だ。

セブ市から車で約3時間、北部に近づくにつれ、強風でへし折られたバナナやココナツの木、電柱が道を阻む。路上には子どもや大人が「HELP! WE NEED FOOD」「PLEASE HELP ME」と書かれた段ボール紙を背に、走行する車を呼び止める=写真④。

写真④

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セブ州北部の沿岸地区に住む1児の母親、ビアニジェン・アルブロさん(22)は「自治体の避難通知を受けて、近くのスポーツ施設に100世帯以上が避難した。天上の鉄板が強風で飛ばされた瞬間はもう死ぬと思った」と語る。

自宅は台風で崩れた。現在は小学校で親せきら7人とともに避難生活を送っている。自治体から1日1回のコメ1キログラムの配給があるが、「これでは全員生きていけない」と辛い表情を浮かべた=写真⑤。

写真⑤

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沿岸にあるバスターミナル付近には、約50世帯の住民が密集して暮らしていたが、その家屋すべてが崩壊。被災3日目の10日、住民たちは倒壊した家屋のすぐ近くに仮テントを設置し、炎天下、バナナや野菜などを根気よく売っていた。玉ねぎを販売していた中年女性は「家は全壊したよ。まあ仕方ないさ」と笑みを見せながら話した=写真⑥。

写真⑥

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セブ州北端に位置する町メディリン。最大瞬間風速70メートルの台風30号の破壊力により、小学校の本館は壊滅した。屋根は約50メートル先に吹き飛び、木造の柱や壁は崩れ去った。幸い、全壊を免れた小学校の5教室に、約500世帯がひしめき合って避難生活を送っている。

8児の母親であるアビゲル・ネリャさん(37)の長男は、現在14歳で小学6年生。倒壊した小学校に通っていた。10日現在、自治体からの食料支援はなく、貯蔵していた食糧を分け合って日々を生きつないでいる=写真⑦。(フィリピン・セブ=篠塚辰徳)

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