男女平等社会のフィリピン、それを支えるのは貧しい女性「ヤヤ」の存在?

カルボンマーケットで花屋を営むウラン・ウランさん。自分でフラワーアレンジメントをする

フィリピンには、女性が男性同様、仕事に励める環境がある。そのため同国の男女平等度も高い。その理由のひとつは、フィリピン版“キャリアウーマン”の多くには「ヤヤ」がいることだ。ヤヤとは、家事や子守をするお手伝いさんのようなもので、フィリピンではある程度所得が高い層はヤヤを雇う。

セブ市内にあるカルボンマーケットで、常連客がたくさんやってくる花屋を営むウラン・ウランさん(48歳)もヤヤを雇っている。ウラン・ウランさんは、モーターボートを製造する会社に勤める夫と4人の子どもをもつ快活な女性だ。月収は時期にもよるが、だいたい5万ペソ(約12万6000円)。平日はヤヤが家事などをすべてしてくれるため、自身が家事をするのは日曜日だけだという。「仕事をしながら家事はできないわ」。ヤヤを雇っているから、ウラン・ウランさんは仕事に専念できる。

しかし、男性と同様に働いてお金を稼ぐ女性を支えるヤヤは、ほとんどが貧しい家庭出身の女性たちだ。フィリピンは厳しい学歴社会で、学歴がなければ良い職にはつけない。ヤヤとして働く女性の多くは学校にまともにいけず、代わりに家事などのスキルを身につけ、ヤヤとなる。

フィリピンは、世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数ランキングでも毎年上位にランクインするほど男女平等な国として有名だ。しかし、その隙間を埋めるのは、ヤヤという貧困女性の存在。男女平等の裏にある女性の階級格差を考えずして、フィリピンは男女平等社会だと手放しに持ち上げてもいいのだろうか。