ミャンマーから寺子屋はなくなるか? 高校への進学率は70%

日本のODAで校舎が建てられたことを示すプレート

公教育を受けられない貧困層に対し、教育サービスを提供する仏教施設がミャンマーにはある。寺子屋だ。「経済発展とともに不要になる」と一部の研究者は指摘するが、実情はそう単純ではない。ミャンマー・ヤンゴンのシェピター地区にある寺子屋「アナウ・オウ・ジン(Anaut Oak Kyin)」は、入学者数も右上がり。教育レベルも公立校と比べて遜色ないという。

この寺子屋は、小学校の5年間と中学校の4年間の生徒を受け入れている。生徒数は総勢1200人。経営者(僧侶)は「地域の人口増加を背景に、寺子屋への入学者も増え続けている」とニーズの大きさを説明する。この寺子屋に勤務する教師は31人。いずれも教員免許をもつ。「給料は公立校と比べてかなり低い。だが経済的な利益ために働いているのではない」と口をそろえる。

教育レベルも決して低くない。高校への進学率は70%。近隣の公立校と同じ水準だ。近年は、進学に役立つ英語と数学に力を入れている。

この寺子屋は、日本の外務省の草の根文化無償資金協力(政府開発援助=ODAの一種)で建設されたもの。運営資金はミャンマー政府の予算と民間からの寄付でまかなわれている。政府から受け取る資金は、教師ひとり当たり1カ月3万6000~4万1000チャット(3600~4100円)に上る。

経営者は「資金のめどさえ立てば、高校(2年間)も併設したい。そのためには寄付がもっと必要だ」と話す。

寺子屋で授業を受ける生徒たち

寺子屋で授業を受ける生徒たち