汚職がひどいのは北朝鮮とソマリア、最もクリーンな途上国はウルグアイ

1027汚職指数濃い赤になるほど汚職がひどいことを示す(2015年腐敗認識指数)。トランスペアレンシー・インターナショナルのホームページから引用

ドイツ・ベルリンに本部を置くNGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は1月27日、2015年の「腐敗認識指数」を発表した。最もクリーンとされたのはデンマーク(100点満点中91点)。アジア最上位はシンガポールの8位(85点)、途上国トップは21位(74点)のウルグアイだった。最下位(167位、8点)は北朝鮮とソマリア。日本は18位(75点)。

■アジア諸国はクリーンに

上位に名を連ねたのは北欧諸国だが、注目は、アジアやアラブの国々の清廉度が高まったこと。前年の26位から22位に順位を上げたカタールをはじめ、アラブ首長国連邦(UAE)23位(前年は25位)、ブータン27位(同30位)、韓国37位(同43位)、ヨルダン45位(同55位)、サウジラビア48位(同55位)、バーレーン50位(同55位)、クウェート55位(同67位)、オマーン60位(同64位)と軒並みランクアップしている。

この傾向についてTIは、国連腐敗防止条約(UNCAC)に順守するため途上国はこの10年で国内の贈賄防止法を整備したことから汚職が減った、と分析する。北朝鮮、ソマリア、チャド、エリトリアなどはUNCACに署名していない。「海外に進出する企業は『途上国では賄賂が当たり前』との認識を改める必要がある」とTIは指摘する。

サブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカでは28位のボツワナが最高位。これに続くのが、カーボベルデとセーシェル40位、ルワンダ44位、モーリシャスとナミビア45位、ガーナ56位など。旧ポルトガル領のカーボベルデを除けば、いずれも英連邦の加盟国だ。

なかでもガーナは市民の汚職撲滅運動が功を奏して前年の61位からジャンプアップした。61位に入ったセネガルはこの4年で清廉度が最も高まった国のひとつで、12年の36点から15年は44点にスコアを上げている。

ラテンアメリカ・カリブに目を移すと、ウルグアイ(21位)、チリ(23位)、コスタリカ(40位)、キューバ(56位)、ジャマイカ(69位)が上位5カ国。ブラジルは前年の69位から76位に大きくランクダウンした。政府系石油会社ペトロブラスの汚職スキャンダルが明るみになったことが理由。ブラジルはこの4年で汚職が悪化し、12年の43点から15年は38点へとスコアを下げた。域内最低はベネズエラの158位(17点)。

■汚職は「人身売買」を助長

全体のワースト5は、最下位の北朝鮮とソマリアに続いて、アフガニスタン166位(11点)、スーダン165位(12点)、南スーダンとアンゴラ163位(15点)だった。こうした国の特徴としてTIは「紛争の影響があること」「ガバナンス(統治)が弱いこと」「警察や司法の力が弱いこと」「メディアの独立性が十分でないこと」を挙げる。

対照的にクリーンな国は「報道の自由度が高い」「予算の情報にアクセスできる」「人々がモラルをもっている」「司法の独立性が保たれ、また富裕層・貧困層を差別せず、判決を下す」といった傾向がある。

世界人口72億人のうち60億人以上がいまだに、「深刻な汚職がある国」(スコアが50点未満の国=55位以下)で暮らしている。汚職が完全になくなった国はひとつもない。汚職がひどい国では、汚職によって必要なお金が役人の懐に入るだけでなく、賄賂と引き換えに役人は、人身売買や児童労働、環境破壊を見逃すため、そういった不正行為が助長されるマイナスも深刻だ。

腐敗認識指数は、腐敗を「与えられた権限を濫用して私的な利益を得ること」と定義。各国の公務員や政治家などが賄賂などの不正行為に応じるかどうかの「腐敗度」を調べ、数値化した。2015年の指数の調査期間は13年12月~14年9月。

2015年腐敗認識指数でクリーンとされた国々。トランスペアレンシー・インターナショナルのホームページから引用

2015年腐敗認識指数でクリーンとされた国々。トランスペアレンシー・インターナショナルのホームページから引用

2015年腐敗認識指数の下位の国々。トランスペアレンシー・インターナショナルのホームページから引用

2015年腐敗認識指数の下位の国々。トランスペアレンシー・インターナショナルのホームページから引用