スリランカ人が「宝くじ」を好きな理由、夢も買えて政府も援助できて一石二鳥でしょ!

スリランカでは買いたい宝くじの番号を自分で選べる。店の前は、当たりそうな番号の宝くじを探す客で賑わうスリランカでは買いたい宝くじの番号を自分で選べる。店の前は、当たりそうな番号の宝くじを探す客で賑わう(スリランカ・カルタラ)

スリランカ人は宝くじが大好きだ。ユニークなのは「宝くじは夢を買えるし、(宝くじを運営する)政府も援助できる。一石二鳥だから!」と多くのスリランカ人が口をそろえること。宝くじの収益金をスリランカ政府は病院や道路を作る財源に回すため、国民の7割を占める仏教徒は、宝くじを買うことは「立派な寄付」になると考える。「因果応報」の教えが根付くスリランカには、宝くじを買い続ければ自分にもきっと良いことが返ってくるはず、と「欲張りな考え方」をする人が大勢いる。

スリランカ人にとって宝くじは身近な存在だ。宝くじを売る店は、スリランカ西部の街カルタラ(人口およそ4万人)にも街中のあらゆるところにある。バスや電車の中にさえ宝くじの売り子がいる。宝くじは8種類あって、値段は1枚10~20ルピー(7~15円)とミルクティー一杯と同じくらいの値段。1等の当選金は1億ルピー(約7300万円)と高額。これはスリランカでは一生かかっても稼げない額だ。

宝くじを運営するのはスリランカ政府。政府は宝くじの収益金を使って病院や道路などのインフラを整備する。2018年6~11月の6カ月で集まったのは3447万ルピー(約2500万円)。スリランカでは宝くじの収益金の合計額をウェブサイトで誰もが見られるシステムがある。「自分が寄付したことが認識できる」とスリランカ人の間でも好評だ。

スリランカ人にとって宝くじはまさに寄付。20代のスリランカ人女性は「私はまだ一度も宝くじに当たったことがない。でも毎日買っている。政府への寄付よ。いつか絶対に大当たりが出るわ。だって良いことをしているもの」と話す。根底にあるのは上座部仏教の教えだ。寄付をすることで功徳を積め、自分に良いことが返ってくると信じている。

「きのう買った宝くじの当選番号をチェックして、きょうまた宝くじを買う。そうしないと1日は始まらない。毎日1枚だけ買う」と語るのは40代の男性。この男性に限らず、スリランカでは宝くじをまとめ買いする人はあまりいない。これは少ない金額でも毎日寄付することが大事だと考えるからだ。どの宝くじがどの分野の公共事業に使われるかもわかるため、特定の宝くじだけを買い続ける人も多いという。

「宝くじ」と「仏教」のかけあわせは、予算が潤沢でないスリランカ政府にとってみれば渡りに船だ。税率を上げたり、微税力を高めたりするのは難しいなか、仏教徒の気持ちを「忖度」した宝くじ事業を広めるほうが効率的な財源確保の方法といえるかもしれない。

前日の当選番号が書いてある紙は手書きだ(スリランカ・カルタラ)

前日の当選番号が書いてある紙は手書きだ(スリランカ・カルタラ)