「下のカーストを優遇しすぎ! だから僕は日本にやって来た」 バラモンのインド人留学生が本音語る

埼玉大学の3年生で、経済協力開発機構(OECD)学生大使のアトレー・シュレヤスさん。「日本でずっと暮らしたい」と流ちょうな日本語で話す埼玉大学の3年生で、経済協力開発機構(OECD)学生大使のアトレー・シュレヤスさん。「日本でずっと暮らしたい」と流ちょうな日本語で話す

グーグルのCEOはインド人

アトレーさんはインド西部の都市プネー出身。カーストは最上位のバラモンだ。「インドで僕は、希望の大学に入れなかった。だから日本の大学にやってきた」と話す。

「上位カーストでも貧しい人はいる。昔と違い、僕の地元ではバラモンの6割が貧しい。日本の奨学金がもらえたから僕は留学できた。いろいろ大変だった」とアトレーさん。勉強のかたわら、さいたま市の居酒屋で毎日アルバイトする生活を送っている。

留保制度の中身は州ごとに違う。プネーがあるマハラシュトラ州の場合、大学への入学枠の6割はSC、ST、OBCに優先的に割り振られる。同じ成績であれば、バラモンというだけで不利になるのが現実だ。

マハラシュトラ州ではまた、公的雇用の80%はSC、ST、OBCにするとの法律もある。このため上位カーストのほとんどは民間企業へ就職するという。

「下位カーストが過剰に優遇されるのはおかしい。こうした社会を嫌って、優秀なインド人は米国へたくさん出ていった。マイクロソフトやグーグルのCEO(最高経営責任者)はインド人。NASA(米航空宇宙局)の科学者も36%がインド人。優秀な人材がインド国内で公平に活躍できる環境があれば、インドはもっと良くなるのに‥‥」。アトレーさんはこう悔しがる。

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