JICAがモザンビーク農民の自給自足を破壊!? 日本向けの大豆を作るため土地奪う

奪われた土地に立つモザンビークの農民ら。すでに大豆が植えられているという(写真提供:JVC)奪われた土地に立つモザンビークの農民ら。すでに大豆が植えられているという(写真提供:JVC)

食は1日3回の投票だ

モザンビークの小農民から奪った土地で作ろうとしている作物は、日本の食を支える大豆だ。日本の大豆の97%が輸入品。日本政府は1961年、工業製品の輸出を伸ばす見返りに大豆の輸入を自由化した。これによって安い大豆が海外から多く輸入されるようになった。

貿易・投資について政策提言するNGO「AMネット」の代表で、京都で農業を営む松平尚也さんによると、輸入大豆の7割が油になるという。その7割がバイオ燃料で、絞った後の大豆粕は家畜の飼料となる。3割は食用油となってアイスクリームやヨーグルトに使われる。

プロサバンナは日本の食と大きくかかわっている。松平さんは「外国の農地を奪ってまで日本の食料を作ろうとする農業、農産物、食卓をどう考えるか。プロサバンナでなぜ大豆を育てるのか」と疑問を呈す。さらに「食は1日3回の投票だ。食卓から世界と社会を変えることができる」と続けた。

「消費のあり方を変えよう、と日本が何年もかけて計画している間にも、失われていく命がある。モザンビークの若い農民の人生は、この瞬間にも過ぎ去っている」。こう話すのは、アジア太平洋資料センター(PARC)の田中滋事務局長だ。「われわれは、100万人(日本人)の利益のために、100人(モザンビークの小農民)を犠牲にしていいのだろうか。たった一人の命でも、日本政府がかかわる事業で、苦しんでいる人がいたら見過ごしてはならないと思う」と日本の税金の使い方の是非を問いかける。

モザンビークのナンプーラ州は肥沃な土地で、収奪される前は水路もあり、さまざまな農作物が実っていたという。「(農地として)使えない土地」といわれる場所も「休ませている土地だ」と農民らは主張する(写真提供:JVC)

モザンビークのナンプーラ州は肥沃な土地で、収奪される前は水路もあり、さまざまな農作物が実っていたという。「(農地として)使えない土地」といわれる場所も「休ませている土地だ」と農民らは主張する(写真提供:JVC)

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