JBIC・フジタ・ホテルオークラ‥‥オールジャパンでミャンマー国軍に資金提供か、NGO5団体が国連に調査を要請

建設中のYコンプレックス(ミャンマー・ヤンゴン)。今回の軍事クーデターを受け、どうなるのか注目が集まる建設中のYコンプレックス(ミャンマー・ヤンゴン)。今回の軍事クーデターを受け、どうなるのか注目が集まる

日系企業のお金が人権侵害に

YTTCの親会社アヤヒンターは2011年、軍事博物館の跡地を開発する権利を取得。その後、日本企業などとYコンプレックスを立ち上げた。ジャスティス・フォー・ミャンマーによると、「アヤヒンターは国軍の代わりに働く国軍系複合企業」だという。ミャンマー国軍関係者が株をもつ国軍系複合企業は、軍の利権を利用して、ホテル、不動産、銀行、運輸、ヒスイをはじめとする宝石の採掘といった分野で莫大な利益をあげているといわれる。

代表的なのがミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)。40%の株を軍の調達局、残り60%を現役軍人や退役軍人がもつ。ミンアウンフライン国軍最高司令官もMEHLに強い影響力を与えると、ジャスティス・フォー・ミャンマーは報告する。

2011年の自由経済の導入以降、国軍系複合企業は海外の企業と提携し、外資をてこにビジネスを進めるようになった。

MEHLと提携する企業のひとつがキリンホールディングスだ。キリンはMEHLと合弁でミャンマーブルワリーとマンダレーブルワリーを保有し、ミャンマーのビール市場の8割を占める。ただキリンは、2月1日のクーデターが起きてから、キリンはMEHLとの提携を解消すると発表した。

国連の事実調査団は2019年9月、MEHLなどの国軍系複合企業と提携する外国企業がミャンマー国軍の財政を支えていると指摘した。合弁会社の利益が国軍の資金となり、それが少数民族の迫害などに使われている可能性があるとして、外国企業に提携の解消を求めていた。

ミャンマーではクーデターに抗議するため、連日デモが続く。ミャンマー国軍は、指示に従わない市民は武力を持って制圧すると警告。2月26日までに5人が治安当局との衝突により命を落としている。

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