審議中の入管法改正案、フォトジャーナリストら「在留資格のない人には何をしてもいいという改悪だ」

東京都港区にある東京出入国在留管理局。在留資格のない外国人が収容されている東京都港区にある東京出入国在留管理局。在留資格のない外国人が収容されている

国会で審議中の入管法改正案の問題を受け、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは4月29日、宇都宮健児弁護士がリーダーを務める「チーム宇都宮けんじ」が開催したオンラインセミナーに登壇した。このなかで「入管法の改正案は、在留資格のない人には何をしてもいいという改悪だ」と警鐘を鳴らした。

難民認定率は0.4%なのに

安田さんによると、入管法改正案には主に3つの問題点がある。

一つ目は、難民認定を申請中の外国人の強制送還が可能になることだ。

現行の入管法は、難民手続中の外国人を、申請の回数や理由などを根拠に、日本から退去させることはできない。これに対して改正案は、難民申請を3回以上した場合、本国に強制送還できるようになる。

入国管理庁によると、現行法の問題点は「難民申請を繰り返すことで、日本からの退去を逃れようとする一部の外国人がいること」だという。

だが安田さんが危惧するのは、強制送還される外国人が増えることだ。日本の難民認定率は2019年のデータで0.4%と低い。移民・難民について厳しい発言を繰り返してきた米国のトランプ前政権でも、難民認定率は30%近くあった。安田さんは「強制送還される人のなかには難民の該当性が高い人も含まれるはず」と不安視する。

アルバイトもダメ

二つ目は「管理措置制度」の導入だ。管理措置制度とは、入管庁の収容施設に入れられた外国人に対して、施設の外で生活することを認める制度。監視するのは、入管庁が選んだ管理人だ。

安田さんはこの制度にも懸念を示す。施設に収容される外国人は「管理人」が見つかるまでは外に出られない。また入管庁が管理人を選ぶ。このため入管庁の権限が強まる可能性があるという。

懸念するのはそれだけではない。施設に収容される外国人が外に出られたとしても、働く許可はおりず、健康保険にも入れないことだ。

「生活が困難な状況に置かれる。病院に行くお金がほしい、子どもに温かいものを食べさせたい、といった理由で、こっそりアルバイトしたことが明るみに出ると、刑事罰の対象になってしまう」(安田さん)

私たちが声を上げないと!

三つ目の問題は「補完的保護」という制度の創設だ。補完的保護とは、難民としては認められないが、難民に準ずる形で入管庁が保護し、日本への在留を認める制度。

だが日本にはすでに、補完的保護と類似した制度がある。「在留特別許可」だ。安田さんは「この問題に長く携わってきた弁護士たちがいろんなシミュレーションを重ねてきた。その結果、補完的保護よりも現行の在留特別許可の方が日本にとどまれる人の範囲が広いのではないかと指摘されている。補完的保護を入れることでむしろ(日本にとどまれる人の範囲が)狭まってしまうのではないか」と話す。

改正案の懸念事項について安田さんはこう語気を強める。

「(法律の)改正とは本来、人権がより守られる、生活がより保たれる方向に変えていくもの。今議論されている入管法の改正案は、真逆の要素が含まれる。施設に収容されている人、脆弱な立場の人は声を上げられない。『適切な法改正』につなげられるのは施設の外に暮らす私たちではないか」