「レイプ犯が無罪になる法律」が世界20カ国にあった、国連人口基金が問題視

「NOT your TOY(あなたの道具ではない)」と抗議する女性たち「NOT your TOY(あなたの道具ではない)」と抗議する女性たち

配偶者間の同意のない性交渉について明記する法律がない国は43ある。こうした国では、「配偶者間レイプ」が犯罪にならないため、加害者は罰せられることもない。

背景にあるのは、結婚が成立すると、男性は妻の体を「所有」し、いつでも好きなときに性交渉できるという伝統的な家父長制の考え方だ。この考えは、女性が結婚を強要された場合でも、お互いの意思のもとで結婚した場合でも同じだ。

UNFPAによると、東アフリカのウガンダで起きる「配偶者間のレイプ事件」の被害者のほとんどは15~19歳の少女だ。ウガンダでは、児童婚が慣習で、貧困家庭の少女が幼くして結婚することがある。この慣習は、配偶者間のレイプ事件の要因のひとつとされ、ウガンダでは深刻な社会問題になっている。

配偶者間のレイプの被害者はまた、性感染症にかかるケースが少なくない。世界保健機関(WHO)は2015年、結婚生活で虐待を受ける女性は、そうでない女性に比べ、エイズに感染する可能性が1.5~3倍高いと報告した。エイズ以外の性感染症にかかるリスクも2~4倍高いという。

世界各地でここにきて、差別的な法律を見直す動きが出てきた。

チュニジアを例にとると、「配偶者間レイプの明示的な犯罪化を含む包括的なジェンダーに基づく暴力法」が2017年、議会で可決された。これにより、夫婦間のレイプが犯罪になった。この新法はまた、レイプした女性と結婚した男性(レイプ犯)が罰を免れる抜け穴もなくした。

とはいえ配偶者間レイプという考え方が広まったのはここ数十年のこと。UNFPAによれば、配偶者間のレイプがあるとされる国でも、他のケースより、加害者に対する罰則が軽くなることがある。

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