【Yalla!女子大生のドバイ留学日記⑤】探し続けて4カ月、UAE人はどこにいる?

ドバイの旧市街にある、アラブ首長国連邦(UAE)の文化を観光客に紹介する施設「シェイクモハメッド文化理解センター」の建物。古い建物をリノベーションしたもの。薄茶色の壁は、もともとは白いサンゴで覆われていて、長年の日焼けで色が変わったというドバイの旧市街にある、アラブ首長国連邦(UAE)の文化を観光客に紹介する施設「シェイクモハメッド文化理解センター」の建物。古い建物をリノベーションしたもの。薄茶色の壁は、もともとは白いサンゴで覆われていて、長年の日焼けで色が変わったという

アラブ首長国連邦(UAE)に英語留学で来て4カ月が過ぎた。でも私は実はこれまで、UAE国籍のアラブ人(UAE人)と出会っていない。ドバイの語学学校でよく話すのは、タイ人やコロンビア人、日本人に最近はロシア人。タクシーやデリバリーのバイクを運転したり、スーパーや工事現場で働いたりするのはインド人やパキスタン人。UAE人のことを英語で「エミラティ」と呼ぶが、エミラティたちは一体どこにいるのだろう?(第1回第2回第3回第4回

エミラティに会ったことありますか

「せっかくUAEに来たのに、エミラティにちっとも出会えない。帰国するまでにどうにか一目エミラティに会ってみたい」

こんなもどかしい思いをもっていた私は、帰国までもうすぐ1カ月となっていよいよ焦りだした。エミラティに会うためには思いつく限り手を打ってみるしかない。

まず頭に浮かんだのは、日本にいる時にganasの記者仲間に紹介してもらった、ドバイ生まれドバイ育ちの女子大生。彼女はイギリスの大学に留学中で、私とも時々チャットする間柄だ。

「エミラティに会えそうな場所や機会を知らない?」。試しに私は聞いてみた。

すると「んー、わからないわ。まあ外国人がほとんどなのがUAE、とくにドバイだからね。でも、エミラティは割とそこら中にいると思うよ」という返事。エミラティはUAEの人口の11%だ。

「困ったなぁどうしよう」と思っていたところ、私はある団体をふと思い出した。それは、ドバイ旧市街のアルファヒディ地区にある、UAEの文化を観光客に紹介する施設「シェイクモハメッド文化理解センター(SMCCU)」だ。ここが主催する、ドバイで最も美しいとされるモスク「ジュメイラモスク」の見学ツアーに私は8月に参加していた。ちなみに、ドバイで唯一、ムスリム(イスラム教徒)以外の人でも中に入れるモスクだ。

SMCCUのインスタグラムの最新の投稿をのぞくと、「あなたはエミラティに会ったことがありますか?」。こんなキャッチーな「エミラティとの食事ツアー」(朝昼夜ほとんど毎日開催)の宣伝文句が目に飛び込んできた。SMCCUのスタッフは全員エミラティ。エミラティを探している私からすると豪華すぎる。

学校の授業が終わった後に行けそうな昼食ツアーは1人145ディルハム(約5800円)。「結構高いなぁ」と渋っていたところ、モスク見学ツアーのチケットを持っていた私はサマーオファーの対象になり、食事ツアーが半額になると知る。

「これはもう絶好のチャンス。今すぐ行くしかない」

直感で私は申し込んだ。

スタッフはみんなエミラティ

ツアーの当日、授業を午前で終えた私は慌ててメトロに乗り込む。「ついにエミラティに会えるのか。一緒に食事もできるのか」と思うと楽しみで、片道1時間がやけに長く感じる。お腹もペコペコだ。

SMCCUの施設は、旧市街に残る伝統的な建物の1つをリノベーションしたもの。近代的なデザインの建物や高層ビルより、古き良きものが好きな私は旧市街に来るとテンションが上がる。旧市街の建物はどれも今は薄茶色。だが元々は外壁も内壁も白いサンゴで覆われていて、長年の日焼けで色が変わったらしい。

中に入ると、ムスリムの日常着の白いカンドゥーラ(ワンピース型の服)を着て頭に白いターバンを巻いた男性がお出迎え。受付係も、黒いアバヤ(羽織型のワンピース)とスカーフをまとったムスリムの女性。ガイドもムスリムの女性2人で、それぞれイランとアフリカの血が入っているらしい。

「エミラティと一口で言ってもアラブ人だけではないのか」と驚いた私。ドバイの街中でよく見かけるムスリムと同じ格好だし、他のアラブ人との区別も全然つかない。

シェイクモハメッド文化理解センターの中のようす。スローガンは「open doors, open minds(扉を開く、心を開く)」

シェイクモハメッド文化理解センターの中のようす。スローガンは「open doors, open minds(扉を開く、心を開く)」

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