ガソリンの高騰でウハウハ! ベナンの屋台でガソリンを売る青年は結婚&2号店オープンと絶好調

やってきた客にガソリンを売るウィウィさん。アブラヤシの葉っぱの屋根とビンを並べる屋台だけの簡単な「道端ガソリンスタンド」だ。同じようなスタンドはいたるところにある

出店前に妻へプロポーズ

ガソリン価格の高騰に便乗して収入を増やしたウィウィさんは2024年12月に結婚、翌1月には道端ガソリンスタンド2号店をオープンするなど絶好調だ。

ウィウィさんは、幼馴染の現在の妻に想いを寄せてはいたが、プロポーズには踏み切っていなかった。2024年に羽振りが良くなったことで、ウィウィさんは新しく店を増やすことを考え始める。そして2号店を誰に担当してもらうかを思案した。「その時(現在の)妻と結婚しようと決意した」とウィウィさんは振り返る。

結婚後2カ月ほど経った2025年1月にスタートした2号店でガソリンをバイクに注いでいるのは、ウィウィさんの妻だ。場所はドボ市の中心部にあるウィウィさんの店から6キロメートルほど離れたドボ市ボハ村を選んだ。「ボハ村にはガソリンスタンドが2カ所しかない。そこに店を開けば売れるはずだ」と見通しを立てた。開店1カ月半にして、ボハ村の2号店でもすでに1日約50リットルを売り上げ、順風満帆だ。

夢はマイホーム

ウィウィさんは、もうかる道端ガソリンスタンドを今後も続けるつもりだ。だがいずれはガソリン以外にも、野菜などの商品を扱うさまざまな店をベナン各地で経営するオーナーになりたいと将来を描く。「特にコトヌーには人がたくさんいるからモノがよく売れる。コトヌーに進出したい」

事業を拡大した先にある夢は、なんと言ってもまずマイホームを持つことだ。ウィウィさんは「もしお金があればコトヌーに土地を買って、家を建てたい。あと車も買いたい。日本にも行ってみたいよ」と夢を膨らませる。

ナイジェリアの影

シピ村の仲介業者がどこからどうやってガソリンを仕入れているのかをウィウィさんは知らないという。ガソリン価格高騰の明確な理由も知らない。

だがウィウィさんは「隣国ナイジェリアが国境を閉鎖すると、ガソリンも、それ以外のモノも値上がりする」とナイジェリア・ベナンの国境閉鎖の影響を示唆する。

ベナンとナイジェリアの国境では石油だけでなく、コメといった農産物などの密輸が行われている。それに対してナイジェリア政府が密輸取り締まりのために国境を閉めることがある。例えば2019年8月にはナイジェリア政府が700キロメートルにわたる大規模な国境封鎖に踏み切った。

それに加えて、石油の国際価格の高騰はもちろん、2023年5月にナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領が燃料に対する補助金を廃止。その結果、ナイジェリア国内の石油価格が上昇したことも、ベナンのガソリン価格に影響を与えている。

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