ニジェールデルタの乳児死亡率は通常の2倍! アムネスティ「石油企業の責任追及を」

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ナイジェリアの石油産出地域ニジェールデルタのそばで暮らす女性が妊娠すると、乳児が死亡する確率が高くなっている――。こんな衝撃的な調査結果をスイスの経済学者らが発表した。これを受けてアムネスティ・インターナショナルは11月6日、掘削時に石油が油田の外に流れだし、それが健康被害につながっているとして「石油採掘企業の責任を問わなければならない」との声明を出した。

ニジェールデルタはナイジェリア南西部に位置する。2005~15年にこの地域で起きた6600以上の石油流出地点の地図と、13年の人口統計と健康調査をもとに、スイスの経済学者ローランド・ホドラー氏とアンナ・ブリューデル氏が石油流出地域で健康被害があるかどうかを分析した。

その結果わかったのは、ニジェールデルタ近辺10キロメートル圏内で、石油流出が起きた後に女性が妊娠した場合、生後1カ月以内の乳児が死亡する割合は通常の2倍にもなることだ。また石油流出地域に近ければ近いほど乳児死亡率が上がること、さらに乳児が低体重などの未熟児で生まれる比率も高くなることが判明した。

アムネスティは以前から、ニジェールデルタ地域の環境破壊や住民に対する暴力が起きている実態を訴えてきた。石油流出がもたらす住民の健康被害についてアムネスティは「石油会社はなぜもっときちんと管理や観察をしてこなかったのか」と批判。加えて、独立した調査機関の設置と住民に対する情報公開をナイジェリア政府に求めた。「(石油を長年掘ってきたロイヤル・ダッチ・シェルなど)企業の責任を問わなければならない」と訴える。

原油輸出はナイジェリアの国家歳入の約7割を占める。ニジェールデルタでは毎年約24万バレル(約3816万リットル)の原油が流出しているといわれる。