チリ・ガーナ・クルドの料理や踊り! 5月10日に東京・練馬で「難民・移民フェス」

「難民・移民フェス」の発起人のひとりである文筆家・イラストレーターの金井真紀さん(右)と「移住連」の理事の高谷幸さん。横断幕のイラストは金井さんが描いた©難民・移民フェス実行委員会

「日本に来て一番楽しい日」

日本政府から難民として認定されず、仮放免の状態となっている人たちはおよそ3000人。働けないので、お金がないだけでなく社会との接点をも失う。出口の見えない生活が十年以上続く人もいる。

アフリカ中部の国で政治活動をしたミンガさん(仮名)もそうしたひとりだ。民兵に追われて日本に逃れてきた。彼を探して何度も家にやってきた母国の警官が故郷の両親と甥を殺したことを後日知った。ミンガさんは日本で難民申請をし、働いていたが、2021年に就労資格を失った。ミンガさんにとって難民・移民フェスは明るい気持ちになれる場だという。

また在留資格をもっていてもさまざまな事情で働けない難民・移民もいる。こうした人たちが自分たちが作る母国の料理を公園で売る。歌や踊りを披露して拍手喝采を浴びる。彼らの表情はいつもとは別人のように明るくなるという。

「難民・移民フェスに参加した難民・移民たちは『日本に来て一番楽しい日だ』『次はいつやるの?』と言って喜んでくれる」(金井さん)

「支援をいつも受ける側にいるのは辛いことでもある」と金井さん。難民・移民が自分の得意なことを発揮して、与える側になれる日。今回で6回目を迎える難民・移民フェスを楽しめる範囲でこれからも続けたいと金井さんは語る。

世界の多様性を面白がる

難民・移民フェスの立ち上げからかかわる金井さんの本業は文筆家とイラストレーターだ。2017年に上梓した『パリのすてきなおじさん』(柏書房)の取材旅行で訪れたフランス・パリでは、クルド人やアフガニスタン人などの難民、難民支援者との出会いがあった。

旅行から帰国した後、日本にいる難民や移民に改めて意識が向いたという。難民・移民フェスを始めた2022年には『日本に住んでる世界のひと』(大和書房)を出版した。

世界30カ国と日本を行き来するなかで金井さんが大事にしていることは「多様性を面白がる」ということだ。

国際移住機関(IOM)の2024年版「世界移住報告書」によると、世界の避難民の数は1億1700万人と過去最多、移民は2億8100万人。難民・移民が抱える課題は山積みだが、その中でも見つかる面白さを日本の人たちに伝え、関心をもってもらいたいと金井さんは考える。この3月には世界に散らばるクルド人が各地で祝うクルドの正月祭りを追って英国とドイツを訪れた。これからも難民・移民たちに向き合っていく。

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