東京オリンピックが難民を苦しめる!? 日本は本当に“おもてなし大国”なのか

入国管理局の実情を語る「収容者友人有志一同」の柏崎正憲さん

移民や難民を支援する団体「収容者友人有志一同(SYI)」の柏崎正憲さんはこのほど、東京・千代田区で開かれた「日本の難民問題と入管問題」を考えるイベント(主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会)で講演した。このなかで、2020年の東京オリンピックを前に外国人を減らす政策が進んでいることを問題に挙げ、「(入管法などに違反した外国人が入る入国者収容所に)収容される人の数の増加と収容期間の長期化が懸念される」と表情を曇らせた。

柏崎さんが非人間的と指摘するのは、入国者収容所の劣悪な環境だ。収容所では、外部者との面会や通信は制限され、刑務所のような生活を強いられる。食事も腐っていたり、髪の毛が入っていたりすることは稀ではないという。医療へのアクセスも難しく、身体的・精神的な病で命を落とす人も少なくない。2007年以降の10年間では13人が病気や自殺で死んだ。

もうひとつ柏崎さんが問題視するのは、入国管理法に収容期間の定めがないことだ。SYIによると、ひどい環境での無期限の収容に耐えかね、9割を超える収容者が自費による送還に同意させられているという。

「収容を無期限かつ非人道的なものとすることは、事実上、強制送還のための手段と化している。入管問題に取り組む弁護士や活動家のなかには、期限のない収容は法を逸脱した権力乱用だと批判する者も多い」(柏崎さん)

柏崎さんはまた、近年の難民の収容を強化する動きに強い危機感を示す。2016年から、仮放免者を再収容する件数が増え始め、収容の長期化が進む。「長期間の収容を回避」するとした2010年からの入国管理局の方針は、2015年に取り消された。

この理由として柏崎さんが挙げるのが、2020年に控える東京オリンピックに向けた移民や難民の追放方針だ。「来年(2019年)4月には入国管理『局』から『庁』への格上げが予定されている。入管は組織を拡大して、ますます多くの在留外国人の人権を踏みにじるだろう」と柏崎さんは嘆く。

「外国人をいつまでも外人として管理し、それに従わない場合は不法化する。入管の過大な権限が根本的な問題だ」と柏崎さん。入国管理局の現在の体制は、難民や移民をはじめ、技能実習生、留学生まで、あらゆる外国人の搾取を助長する。

東京オリンピックに向けて“おもてなし大国”を目指す国とはかけ離れた実態に柏崎さんは怒りをあらわにする。悲惨な現状を打破するために「今後もデモや面会活動を続けていく」と強い使命感を燃やす。