 世界中で弱まる「法の支配」。とりわけひどいのが赤色に塗られた国・地域だ
世界中で弱まる「法の支配」。とりわけひどいのが赤色に塗られた国・地域だ権力を法律で担保する世界の実現を目指す国際NGO世界正義プロジェクト(WJP、本部:米国)は10月28日、2025年の「法の支配指数」ランキングを発表した。法の支配が最も弱い国は南米ベネズエラで、最も高い国は北欧のデンマークだった。独裁や専制をはじめとする権威主義が世界レベルで進んでいる現実が顕著となった。
法の支配指数は8つの指標で決まる。これらは「政府権力の抑制」「汚職の欠如」「開かれた政府」「基本的人権」「秩序と安全」「規制執行」「民事司法」「刑事司法」。WJPによると、このうち世界でとりわけ悪化したのは「政府権力の抑制」「開かれた政府」「基本的人権」の3つだ。
今回のランキングの対象となったのは143カ国・地域。ワースト10は順にベネズエラ(143位)、アフガニスタン(142位)、カンボジア(141位)、ハイチ(140位)、ニカラグア(139位)、ミャンマー(138位)、スーダン(137位)、コンゴ民主共和国(136位)、エジプト(135位)、カメルーン(134位)で、ラテンアメリカがとくに目立った。
法の支配が弱い国をみると、2021年に大統領が暗殺された後、ギャングが跋扈(ばっこ)するハイチはもとより、ベネズエラのマドゥロ大統領、アフガニスタンのタリバン、カンボジアのフン・マネット首相とフン・セン前首相(首相の父)、ニカラグアのオルテガ大統領、ミンアウンフライン国軍最高司令官といった悪名高い独裁者・政権がずらりと並ぶ。
指標別にみると、ベネズエラは「政府権力の抑制」「規制執行」「民事司法」「刑事司法」の4つで最下位だった。ベネズエラ人の反体制活動家で、ノーベル平和賞を先日受賞したマリア・コリーナ・マチャド氏は「ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量、世界10位の淡水資源、ラテンアメリカ最大の金埋蔵量をもつ国。なのにこの地域でなぜ、最も貧しいのか。その答えは、法の支配指数ランキングで最下位だからだ」とコメントした。
また前年と比べて法の支配指数のスコアを最も落とした国はロシアだった。これに続くのがスーダン、モザンビーク。
対照的にトップ5カ国・地域に名を連ねたのはデンマーク(1位)、ノルウェー(2位)、フィンランド(3位)、スウェーデン(4位)、ニュージーランド(5位)。北欧諸国が大半を占めた。前年からスコアを最も伸ばしたのはドミニカ共和国。次いでセネガル、シエラレオネ。
日本は15位だった。以下、米国27位、ルワンダ39位、タイ77位、中国92位、ベナン94位、ロシア119位、イラン128位など。

 















 
             
             
            