エンベラチャミ族が暮らすカルマタルア先住民保護区。ここは、コロンビア政府から自治権を一部認められている。原始的というよりも「素朴な村」という感じ。アカバブルはこの地で、また地元の子どもたちが出演して撮影された「原始的」という先入観をなくしたい
アカバブルは、メデジンにあるアンティオキア大学に通っていたヤガリ監督が卒業制作として発表したもの。といっても半年以上の期間をかけた本格的な13分の短編映画だ。
ヤガリ監督は撮影に先立ち6カ月にわたって、子どもたちと遊ぶワークショップを開いた。カメラの前でも自然に振る舞える子どもを選び、役を決めるのが目的だった。プロの俳優を使わないための工夫だ。
撮影に入っても子どもたちと楽しみながら進めた。雨のシーンでは、カルマタルア先住民保護区の外から消防車を呼び、ホースで雨を降らせてカメラを回した。カットがかかった後も子どもたちは「もう1回!」とはしゃぎながら、みんなで遊んだという。
アカバブルのプロデューサーを務めた、ヤガリ監督の大学の同級生ラウラ・ヒラルド・ミラさん(先住民ではない)はヤガリさんの実家を訪ねたとき、自分の村とさほど変わらないことに驚いた。「先住民の暮らしは正直、もっと特別なものだと思っていた。でも違った」と振り返る。
アカバブルは、リアリティを出すため、エンベラチャミ族が暮らすカルマタルア先住民保護区で、しかもエンベラチャミ族の子どもたちが出演して撮られている。「エンベラチャミ族のそのままの姿を視聴者はスクリーンで見られる」とその価値を口にする。
ヤガリ監督も「アカバブルを通して、先住民のリアルを伝え、『先住民は原始的、普通とは違う』といった先入観をなくしたい。エンベラチャミ族だけでなく、コロンビア国内に115いる先住民すべてがリスペクトされるべき」と話す。
アカバブルには実はもっと先を見据えるメッセージも込められている。それは女性の立場や自由を啓蒙することだ。ヤガリ監督とミラさんは「女性の立場が弱いのはエンベラチャミ族だけでない。世界に目を移しても、政治家や医者など、リーダー的な立場にいる女性はまだまだ少ない。女性が表現できるよう、その自由を広めたい」と口をそろえる。

エンベラチャミ族を代表する文化のひとつが「ビーズのアクセサリー」だ。外国人からの人気も高い














