ISに捕まったヤジディ教徒の女性はレイプされる、ヒューマン・ライツ・ウォッチが明らかに

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)はこのほど、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)がイラク北部でヤジディ教徒の女性・少女をターゲットに組織的にレイプや性の奴隷化、兵士との強制結婚をさせていることを明らかにした。こうした行為は戦争犯罪だとして、HRWは「IS兵士の性暴力を停止させるよう、あらゆる手段を使って圧力をかけるべきだ」と強く訴える。

HRWは1~2月、ISから逃れた経験をもつ女性・少女20人を対象に、イラク北部のドホークで聞き取り調査した。20人のうち半数が「複数のIS兵士に何度もレイプされた」、ほぼ全員が「強制結婚させられるか、何度も売られるか、“贈り物”として誰かのもとに送られた」と答えたという。

またドホークで性暴力被害者を診療した女性医師がHRWに語ったところによれば、診察した成人女性と少女105人のおよそ7割(70人)がISに捕らわれている間にレイプされた可能性がある。さらにHRWによると、ISは昨年10月、機関誌「ダビック」の中で、自軍の兵士がヤジディ教徒の成人女性と少女を捕らえた上で“戦利品”として他の兵士に与えたことを認めている。

レイプによる被害は「その時」だけではない。妊娠して子どもが生まれるケースもある。HRWは、クルド自治政府に対し、レイプによって生まれた子どもへの支援計画を策定し、子どもと母親に十分なサービスと保護を提供すべきだ、と要望する。「運良く逃れることができた女性たちにはトラウマへのケアが必要だ」(リーズル・ゲルントホルツHRW女性の権利局長)