トーゴの障害者の半数が通学経験なし? プラン・インターナショナルが義肢の無償提供など就学サポート

「父親母親クラブ」の集会のようす。子育ての悩みを話しあう場になっている。障がいのある子どもの家庭訪問をすることも「父親母親クラブ」の集会のようす。子育ての悩みを話しあう場になっている。障がいのある子どもの家庭訪問をすることも

国際NGOプラン・インターナショナルは、西アフリカのトーゴで実施中の「障害のある子どもたちへの教育支援プロジェクト」のオンライン報告会を開いた。トーゴでは障害者への差別意識が根強いといわれる。

ボランティア100人を育成

プランによると、トーゴでは、小学校への入学率は99%にのぼる。だが活動地域のひとつである同国中部のカーラ州バサール県でプランが5~24歳の障害者1143人に聞き取り調査したところ、49%(556人)が「小学校に通ったことがない」と答えたという。

教育支援プロジェクトの中でプランが最も力を入れる活動は、障害児が学校で不自由なく過ごせるよう、障壁を取り除くことだ。これまでに7つの小学校にトイレや給水設備を、16校にスロープを設置。120人に義肢や義足などの補助器具も提供した。

プランはまた、障害に対する正しい知識や理解を促進するために、障害児をもつ家族だけでなく、コミュニティの人に対しても啓発活動を進める。

そのひとつが「父親母親クラブ」の設立・運営だ。障害に対する正しい知識をプランのスタッフがレクチャーするほか、障害児がコミュニティの中で取り残されないよう、障害児をもたない親も参加するのが特徴だ。

父親母親クラブと並行して、「障害支援ボランティア」も育成する。この1年でプランは100人を育てた。

障害支援ボランティアの主な業務は、障害児をもつ家族へどんな医療補助が必要であるのかをアドバイスしたり、学校での学習に困難がある場合に親と学校との仲介役を担ったり、障害に対する差別や偏見をなくすためにコミュニティで啓発したりすることだ。

障害は呪いのせい

オンライン報告会に登壇した同団体トーゴ国統括事務所の駐在員である武田めぐみさんは、トーゴの女性が障害支援ボランティアを通して出会ったという、足に障害をもつ12歳の女の子のエピソードを紹介した。

その女の子はあるとき、「『私の足が動かないのは、村にいる女のせい。だから治らない』と親に言われた。リハビリをしても意味がない」と言い、リハビリを突然辞めてしまった。トーゴでは、呪いやばちがあたったせいで障害をもつようになったという迷信を信じる人は少なくない。

この女の子のことを障害支援ボランティアの女性は仲間が集まる会議で知った。「その子は、私の地域にいる障害のある子。私が両親を説得する」と立ち上がり、この女の子はリハビリを再開したという。

プランはさらに、障害に対して教師がもつ意識を改革することにも取り組む。そのきっかけとして、障害児と教師がコミュニケーションをとれるようプランは手話や点字のトレーニングを提供する。

プランが支給した車椅子で通学する女の子

プランが支給した車椅子で通学する女の子