2015-06-26

JICA、カンボジア王国「救急救命医療整備事業」に対する海外投融資貸付契約の調印

国際協力機構(JICA)は、6月25日、日揮株式会社、株式会社産業革新機構、株式会社Kitahara Medical Strategies Internationalが出資するカンボジア法人Sunrise Healthcare Service Co., Ltd.(以下「SHS」)との間で、救急救命医療整備事業を対象として、プロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結しました。

本事業は、SHSがカンボジアの首都プノンペンにおいて、救命救急センターを併設した民間病院(病院名:Sunrise Japan Hospital Phnom Penh)を設立・運営することにより、日本の技術・ノウハウを活用した医療サービスを提供し、もって同国の疾病状況の改善に寄与するものです。JICAはSHSが本事業を行う上で必要な資金を融資します。

カンボジアでは近年急速な経済成長に伴い、国民の生活・社会環境が変化し、生活習慣病が増加しています。特に生活習慣病と関わりの深い脳卒中は救急患者の処置が重要ですが、現在カンボジアでは脳神経外科分野の高度医療が十分に整備されていません。また、近年の自動車やオートバイの急速な普及により交通事故が急増している状況に対し、事故後の患者に対する救急処置を行う救急医療体制も十分に整備されていません。このような状況の下、本事業は日本人医師や看護師を中心とした質の高い医療サービスを提供することにより、カンボジアにおける高度医療及び救急医療水準の向上に寄与するものです。

本件はJICA海外投融資による初のプロジェクトファイナンス案件であり、株式会社三井住友銀行がファシリティーエージェントを務めます。また、JICAは本事業に対する融資に加え、本事業によりSHSが開院する前に医療法人社団KNI・北原国際病院(東京都八王子市)で行われる、医師、看護師等カンボジア人病院スタッフ向けの研修を支援する技術協力を行います。

日本政府の「日本再興戦略」では新興国を中心に日本の医療拠点を2020年までに10ヶ所程度創設するとされており、本事業はこの医療拠点の1つに位置づけられます。また日本政府の「インフラシステム輸出戦略」において医療分野は新たなフロンティアとされており、「健康・医療戦略」では医療の国際展開のためにJICA海外投融資を積極的に活用するとされています。本事業はこれらの政策を具体化するものであり、病院建設に加えて日本の優れた医療技術が活用され、また、カンボジア人病院スタッフの人材育成と一体で事業が実施されることから、質の高いインフラ投資の先進的な事例となります。

JICAは今後も開発金融機関として海外投融資を積極的に活用し、技術協力と組み合わせることにより、途上国における医療水準の向上、我が国医療の国際展開、医療分野を含めたインフラシステムの輸出に貢献していきます。

http://www.jica.go.jp/press/2015/20150626_01.html