信仰心の強さ=同性愛の否定? ピューリサーチ調査

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米国の調査会社ピューリサーチは、同性愛を社会は受け入れるべきかどうかという調査を、2013年3月2日~5月1日に39カ国3万7653人を対象に実施し、その結果を6月4日に発表した。データをみると、同性愛への考え方の違いには信仰心が大きく関係していることが鮮明となった。

■ナイジェリアでは98%が同性愛嫌い

同性愛にとりわけ否定的な傾向が強いのは、アフリカとイスラム国家だ。生活のなかで宗教を重要だと考え、神を信じ、1日最低1回の祈りをするなど宗教が生活に根付いている国の多くは、同性愛を受け入れたがらないということがピューリサーチのデータから読み取れる。

イスラム国家を例にとると、ヨルダンでは97%の人が同性愛に否定的な考えをもつ。以下、エジプト95%、チュニジア94%、パレスチナ93%、インドネシア93%、パキスタン87%、マレーシア86%、レバノン80%、トルコ78%と続く。

アフリカでも同じ傾向。同性愛に否定的な人の割合が高いのは、ナイジェリアの98%を筆頭に、セネガル96%、ガーナ96%、ウガンダ96%、ケニア90%などだ。同性愛が合法で、同性愛差別が違法になっている南アフリカですら61%が否定的と答えている。

だがその一方で、信仰心が弱くても、同性愛に否定的な国がある。ロシアや中国、韓国などだ。対照的に、ブラジルやフィリピンは、信仰心は強いお国柄だが、例外的に同性愛には寛容な国民が多い。

■スペインの88%が同性愛を支持

同性愛に対して最も肯定的だったのは欧州だ。「同性愛を社会は受け入れるべきだ」と答えた割合は、スペインでは88%にも上った。このほか、ドイツ87%、チェコ80%、フランス77%、英国76%、イタリア74%と軒並み高い数字を示した。

北米では、カナダが80%。米国は60%と決して高くはないが、07年の調査から11%上昇した。

南米でも肯定的な結果が出ている。同性愛への支持率が一番高いのはアルゼンチンで74%。同国は10年に、南米で初めて同性婚を合法化したが、こうした世論も背景にあるといえそうだ。次いで、チリ68%、メキシコ61%、ブラジル60%、ベネズエラ51%。低かったのはエルサルバドルの34%。

アジア大洋州は、オーストラリア(79%)とフィリピン(73%)が同性愛を支持しているのを除いて、全体的に否定的な傾向が強い。

■女性の方が同性愛に寛容

同性愛を受け入れるかどうかの考えは、同じ国でも男女間で大きな開きがある。女性に対する差別が比較的強い国の場合、女性のほうが同性愛に対して寛容という結果が出た。

男女差が最も大きかったのはイスラエルで17%。これに続くのがベネズエラの15%、日本の14%などだ。同性愛を肯定する度合いの高いフランスや米国でも、女性の方が男性より10%程度高く同性愛を支持していることがわかった。

■より否定的なのは高齢者

一部の国では、年齢による考え方のギャップも大きい。若年層は同性愛に寛容だが、高齢者ほど否定的になる。

例えば日本では、若年層(18~30歳)の83%が同性愛に肯定的だが、30~49歳になると71%、50歳以上だと39%と半分以下に下がる。世代間の差は44%にも達する。韓国やブラジルでも同様の傾向が見られる。

ただ英国やフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、チェコなどではすべての年齢層で同性愛に対して肯定的な結果が出ている。

またアフリカやイスラム国家では、世代間の違いはなく、一貫して否定的だ。(有松沙綾香)