「選挙に行かないならセックスさせないわよ」、ジンバブエ女性たちのno vote no sexキャンペーン

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ジンバブエのプリシラ・ムションガ民主変革運動相はここ数週間、女性に対して、夫とのセックスを拒否するよう呼びかけてきた。理由は、夫を投票に行かせるための取引。このキャンペーンは名付けて「no vote no sex」。日本語に訳すならば、投票しないとセックスさせないわよ。

ジンバブエでは7月31日、大統領選が実施される。ジンバブエといえば、2008年11月に記録した897垓%(年率換算)というハイパーインフレ、また13年1月末には国庫の残高が217ドル(約2万円)に落ち込む事態を招くなど、経済は完全に破たんしている。これらは、国内にあった白人の大農場を強制収用するなど、ロバート・ムガベ大統領が進めてきた一連の強権的な政策の失敗が起因しているといわれる。

セックスボイコットを打ち出した理由についてムションガ民主変革運動相は「有権者登録も、投票も、この国では女性しかしない。だが、ジンバブエを変えるためには男性の力も必要。選挙に行ってくれ、とこれまで何度も男性に促してきたが、聞いてくれなかった。だから今回は男性が“一番大好きなもの”を与えない方法で挑む」と話す。

このセックスボイコットには多くの女性が賛同している。だが一方で、一部の男性は異論を唱える。

元教師のギルバート・シバンダ氏は「セックスボイコットは、男性を投票に行かせるための武器として使えない。男性の何人かは選挙に関心を失っている。投票しても、ムガベ大統領を解任させられなかったからだ」と言う。

これに対してムションガ民主変革運動相は「セックスをするかしないかが問題ではない。セックスボイコットに込められたメッセージに焦点を当てるべきだ。私たちのメッセージはこの国の変化のため。7月末の大統領選の結果で、ジンバブエ国民にメッセージが伝わったかどうかが明らかになる」と、ジンバブエの政治の変化を改めて訴えた。(有松沙綾香)