日本の小学生にフィリピン人の英会話教師を薦める「4つの理由」

フィリピン・セブのマボロ小学校の3年生たち。この中から数人はオンライン英会話講師になるかもしれない

日本では2013年度から小学校5・6年生で合計35時間(1時間=45分)の英語学習が必修化された。英語のネイティブスピーカーの教師がいる小学校は増えているが、ほとんどの日本人教師は留学経験がないのが実情だ。そこで注目すべきが、フィリピン人が講師を務めるオンライン英会話だ。日本の小学生の英語教育にフィリピン人が適している理由を4つに分けて説明する。

第一に、フィリピンには日本人を顧客とするオンライン英会話教室が、オンライン英会話スクール比較サイトBEST CHOICEによると約140校あること。そのほとんどでフィリピン人が講師を務める。実践的な英語のコミュニケーションの場となっている。

フィリピン人同士だが、オンライン英会話を利用したことがあるフィリピン大学(UP)セブ校の学生ラモイさん(16)は「移動する必要がなくてとても便利。その場で間違いを指摘してもらえるのでありがたい」と話す。日本とフィリピンの時差は1時間なので授業時間も調整しやすい。教える側の負担は少ない。

韓国や南米などの学校ではすでに、フィリピン人の講師がオンラインの英会話授業を実施している。1人の先生対1クラスなので、人数は多いがスクリーンを活用するなど工夫すれば大きな問題はないという。

第二に、フィリピン人はフレンドリーだ。見ず知らずの人にも気軽に話してくれる。フィリピンの国民性を表す言葉のひとつ「フィリピーノホスピタリティー」は、初めて会った人にも暖かなもてなしの心で接し、陽気で笑顔を絶やさないという意味がある。英語がほとんど分らない日本の小学生にとって、フィリピン人の寛容さは会話のきっかけを作ってくれる。

日本人とフィリピン人の相性の良さは国際結婚にも表れている。厚生労働省の「人口動態調査」(2011年)によると、8500人以上の日本人男性がフィリピン人女性と結婚した。また、フィリピンの国民的英雄ホセ・リサールにも日本人の恋人おせいさん(臼井勢以子)がいた。日本人とフィリピン人の相性は歴史的にも良いことがわかる。

第三に、フィリピン人教師の採用は、日本のイメージアップにつながる可能性を秘める。日本人のイメージについてフィリピンの小学生に聞いたところ「誠実そう」「お金を持っている」といった答えが返ってくるなど、印象はもともと悪くはない。

日本の大学に留学した経験をもつアニーさん(20)は、留学中に日本人の子どもたちに英語を教えていたが、日本のイメージはさらに良くなったと言う。「日本人は勤勉なので覚えるのも早い。親切で優しい人ばかりでとてもいい国だと思う。日本人の子どもたちに英語を教えてくれ、と言われたら大歓迎」と言い切る。

第四に、途上国に対する日本人の理解を広め、偏見をなくせる可能性があること。日本人の中には途上国という言葉から「怖い」「危険」「貧しい」と悪いことを連想する人が少なくない。しかし、英語のレッスンを通してお互いの国について知ることができれば、日本人も途上国で働くことに抵抗がなくなる。

2月までセブに語学留学していた日本の大学生は「留学先にフィリピンを選んだのは格安で行けるから。留学前は治安や英語の訛りなど不安要素はいくつかあった。しかし、学校の先生はとても優しくて協力的だったし、慣れない海外生活の中で人の温かさに助けられる毎日だった」と話す。