フィリピンドリーム「より大きなお店を開きたい」、鏡のない理髪店を営む50歳

イキイキと仕事に励むコニー・カスタニエダさんイキイキと仕事に励むコニー・カスタニエダさん

フィリピン・セブ市にあるカルボンマーケットに、50歳となった今でも夢に向かって、イキイキと仕事に励む“男性”がいた。“セブの台所”カルボンマーケットの一画に、コニー・カスタニエダさん(50)の営む理髪店がある。

この理髪店は屋外で営まれており、いすは1つのみ。日本のような大きな鏡はなく、カットを終えた時点で小さな手鏡で出来栄えを確認する。「今の夢はもっと大きな店をもつこと」とコニーさん。

1日の収入は300ペソから500ペソ(約800円から1300円)。そのうち100ペソほどを夢のために貯金している。「お金はないけど、今はとても幸せよ。好きなことを仕事にできているから」。幸せそうに微笑む。

コニーさんは幼いころから美容に興味をもち、理髪師に将来なりたいと夢見ていた。14歳からメイクアップやヘアカットについての勉強を始め、18歳で美容の仕事に就いた。この店を開く以前はカルボンマーケット近くで、理髪店の従業員として働いていたが、20年ほど前に独立し、それ以降カルボンマーケットで自分の店を営んでいる。

カット料金は30ペソから50ペソ。「お客さんのお金がなければ、30ペソしかもらわない」とコニーさん。顧客の懐事情によってカット料金を変えるところに、顧客想いの人柄が垣間見える。営業時間は朝5時から夕方5時まで。その間に10人ほどの客がこの店を訪れる。国際労働機関(ILO)によると、フィリピンの平均年収が2012年時点で24万8182ペソ(現在のレートで約63万円)であることを考えれば、底辺に近い暮らしだ。にもかかわらず、彼はまた新たな夢に向かって一歩ずつ歩み続けていた。