外務省の2015年度ODA予算は微増の4238億円、インフラ輸出に666億円・MDGsに614億円

閣議決定された2015年度予算案によると、外務省の政府開発援助(ODA)予算は4238億円で、前年度の当初予算の4230億円から微増した。主な内訳は、無償資金協力1605億円(62億円減)、JICA運営費交付金(技術協力)1464億円(39億円減)など。有償資金協力は9888億円と横ばいだった。また、国連などへの分担金・義務的拠出金は1214億円(45億円増)、任意拠出金は274億円(37億円増)。

外務省は「ODAの積極的・戦略的活用」を重点項目のひとつとして掲げる。予算配分を項目別にみると、「普遍的価値の共有、国際社会の平和と安定に向けた協力」に452億円、「途上国と日本の経済成長のための戦略的なODAの充実」に1065億円、「人間の安全保障の推進」に1457億円、「戦略的なパートナーシップの構築」に253億円となっている。

「普遍的価値の共有」では、「平和構築・人道支援やテロ支援」に229億円を計上した。この中には、フィリピン・ミンダナオ島の和平やミャンマーの少数民族、難民などへの支援が含まれる。また、保健・衛生サービスへの女性アクセス向上や人身取引対策の支援などの「ジェンダー平等と人権の確保」に159億円を充てる。

「途上国と日本の経済成長」については「インフラシステム輸出支援」に最大の666億円を振り向けるほか、「中小企業の国際展開支援」に46億円、「日本の医療技術・サービスの国際展開」にも40億円を割いた。

「人間の安全保障」では、「MDGs(ミレニアム開発目標)達成支援、ポスト2015年開発アジェンダ対応支援」に614億円を投入する。主な中身は、市場志向型の農業復興や理数科教育、安全な水の維持管理などへの支援だ。「環境問題・気候変動対策」に424億円、「感染症対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進」にも194億円を配分する。UHCとは、すべての人が基礎的な保健医療サービスを、必要な時に負担可能な金額で受けられることを指す。

「戦略的なパートナーシップ」は、NGOとの連携やブラジル日系社会とのネットワーク強化、ODA広報など。

外務省はまた、ODA以外の予算として2626億円を計上した。重点項目のひとつが、伝統芸能やポップカルチャーなど日本の魅力を売り込む「戦略的対外発信」だ。日本の広報文化外交拠点「ジャパン・ハウス」を世界の主要都市に設置していく。

別の重点項目である「積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献」では、女性、人権、軍縮・不拡散、気候変動、中東情勢をキーワードに、国益を超えた「グローバルな利益」の実現を目指す。日本のプレゼンスを高めるため、2025年までに国際機関で働く日本人職員の数を現在の800人から1000人に増やしたい意向だ。

これ以外の重点項目をみると、「『アベノミクス』を後押しするための経済外交の推進」では、新興国の経済成長を取り込むため、貿易のFTA(自由貿易協定)比率を現在の23%から2018年までに70%に高める方針。また「外交実施体制の飛躍的な拡充」では、モルディブやソロモンなど8公館(大使館6つ、総領事館2つ)を新たにオープン。また外務省の定員を82人増やす。