保健医療の国内格差が最も大きいのはチャド、ワールド・ビジョンがランキング

ワールド・ビジョンは9月5日、世界の「保健医療格差ランキング」を発表した。このランキングは、健康を守るための保健サービス(疾病の予防や治療を含む)に最善のアクセスを得ている「ヘルスリッチ」とアクセスが限られている「ヘルスプア」の間の国内格差を明らかにするもので、176カ国のデータをもとに作成した。

これによると、保健医療格差が最も小さいのはフランス。以下、デンマーク、ノルウェー、ルクセンブルク、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、スロベニア、キューバ、スイスが続く。9位のキューバ以外はすべて欧州諸国。日本は17位、米国は46位だった。

一方、保健医療格差が最も大きいのはチャド。それ以外のワースト10は下から、シエラレオネ、ギニア、マリ、赤道ギニア、ニジェール、コンゴ民主共和国、アフガニスタン、カメルーン、コートジボワール。サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカ諸国が大半を占めた。

すべての国で保健医療格差はある。だがとりわけひどいのは途上国だ。世界各国の保健医療データは通常、国全体の合計や平均値が用いられているが、その裏には大きな格差が隠されている。

ワールド・ビジョンは、格差の解消抜きに、国連ミレニアム開発目標(MDGs)が掲げる目標のひとつ「2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する」は実現しえないと考えている。今回のランキング発表は、こうした事実を喚起することが狙いだ。

9月下旬に開かれる国連総会は、15年に期限が切れるMDGsの“その後の目標”(ポストMDGs)を策定するうえで大きな局面となる。この国連総会に向けてワールド・ビジョンは、幼い命を守るためには保健医療格差の存在から目を背けずに正面から取り組むことが必要であることを訴えていく。

ランキングを算出するために使用したデータは、「平均余命格差指標」「保健医療費個人負担指標」「早すぎない妊娠・出産格差指標」「保健医療従事者数格差指標」の4つ。