アフリカの「子ども兵士」の実態を学ぶ学生団体PPF、ひとりひとりが平和の“ピース”になる!

1103吉井さん、no.001ミーティング中の大澤高広さん、廣瀬あかりさん、諸石達也さん(左から)。時に冗談を交えながらも真剣に話し合う

小さな体で銃を扱い、兵士として戦場に駆り出される子どもたちの存在をご存じだろうか。彼らは「子ども兵士」と呼ばれ、アフリカを中心に30万人以上はいるといわれる。確かな人数を把握できないのは、子ども兵士を多く抱えるゲリラ組織がその存在を隠蔽しようとしているからだ。

国際問題のひとつとして浮き彫りになりつつある子ども兵士の存在だが、日本国内でこの問題に取り組む団体は少ない。中央大学の学生が活動する国際協力団体「PIECE×PEACE FESTA (PPF)」はそのひとつだ。

■ウガンダの元子ども兵に会いに行く

PPFは今から10年ほど前、中央大学総合政策学部の学生有志たちが結成した。当初は、子ども兵のイベントを1回開催して終わるはずだった。だが、「このままで終わってしまってはもったいない」という学生たちの意思で、団体結成に至った。

PPFのメンバーは、勉強会を開いて子ども兵の問題について自身の理解を深めるだけでなく、チャリティイベントや専門家をゲストに招いた講演会を企画することにより、子ども兵の存在を国内に伝えている。

現在は、NPO法人テラ・ルネッサンスがウガンダの子ども兵を支援する施設を2014年2月に訪れる企画を立てている。

子ども兵の経験を経た子どもたちのほとんどは、軍に連れ去られる前に「未練を断ち切る」意味で両親を殺したり、自身の村を襲撃したりすることを強要される。そんな元子ども兵を社会へ戻すことは非常に困難だ。そこで、そんな子ども兵を保護し、やがては社会復帰できるよう支援するのがテラ・ルネッサンスの主な活動だ。

ウガンダ渡航の目的は、施設の元子ども兵にインタビューしたり、一緒にアフリカのダンスや歌を体験したりすることで、元子ども兵の実態を知り、施設が行うカウンセリングの効果を肌で感じることにある。

この企画の提案者は、1年生の早田大海(はやたひろみ)さんだ。「何か自分たちにできることがあるなら、とにかくやりたいと思ったのです」。「もっと子ども兵について知りたい!」という早田さんの熱い思いが、他のメンバーに伝わった。

■不参加メンバーも一緒に企画立てる

PPFは10月24日、ウガンダ訪問に向けたミーティングを開いた。すべてのメンバーが、平和(PEACE)を生みだすピース(PIECE)になれることを活動の理念に掲げるPPFは「全員で」企画を作り上げることにこだわっている。

ウガンダには、費用や予定などの都合で行けない学生もいる。ミーティングでは、そうした学生も含め、子ども兵についての勉強をさらに深めていく必要があるとの意見が出た。

「参加できない学生のモチベーションも高めていくことも大切だと思う。もし渡航計画が成功したら、一緒に喜べるし、達成感も味わうことができるでしょう?」。こう話す廣瀬あかりさん(4年生)は「アフリカで活動経験のあるボランティアに直接話を聞きに行ってはどうだろう?」と提案した。

「ネットでは知りえない元子ども兵の実態を肌で感じて、それをちゃんと日本で伝えたいですね」と語るのは4年生の大澤高広さん。また、PPF代表の諸石達也さん(2年生)も「ウガンダへの渡航をきっかけに、もっといろんなことにチャレンジして、子ども兵の問題を多くの人に知ってもらい、一緒に考えてほしいです」と真剣なまなざしだった。

帰国後は学外の学生などを募って報告会を行い、さらに活動の幅を広げていく予定だ。子ども兵問題について考える人が増えるほど、たくさんの解決方法が見つかるかもしれない。(吉井翔子)