「ルワンダ政府がブルンジ難民を兵士としてリクルートしている」、UNHCR職員が告発

マハマ・ブルンジ難民キャンプ(2015年8月撮影)マハマ・ブルンジ難民キャンプ(2015年8月撮影)

ルワンダ東部のマハマ・ブルンジ難民キャンプで、ルワンダ政府がブルンジ難民をリクルートし、ブルンジ反政府軍に加えている――。同キャンプで働くカナダ人の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)外部顧問が告発した。

顧問によると、ブルンジ難民を兵士として勧誘するのは、ルワンダ災害難民対策問題省(MIDIMAR)の職員。MIDIMARはキャンプ内で、洪水や地震などの災害が起きた際に被害を削減できるよう難民を啓発する組織だ。

UNHCRの別の職員は「キャンプの中でリクルートの話はできない。なぜならMIDIMARの職員が目を光らせているからだ」と言葉を選びながら語った。

リクルートされるブルンジ難民のほとんどは、甘い言葉を囁かれ、自主的にブルンジ反政府軍に加わる。だが、強制的に入れさせられる者もいる。リクルートされる難民の多くは若者だという。

ルワンダ政府がブルンジ反政府軍を支援する理由は、はっきりとわかっていない。ただ、ブルンジは金やニッケルなどの鉱物資源が豊かだ。近年の調査では、ブルンジに面するタンガニーカ湖の底に天然ガスや石油が埋蔵されていることが分かった。ブルンジの資源獲得をもくろみ、ブルンジ反政府軍をルワンダ政府が支援しているとの見方もある。

また、ルワンダのカガメ大統領は11月6日、AFP通信の取材に対して、ブルンジのリーダーらを「国民を殺りくした」と非難するなど、ブルンジ政権にかねて嫌悪感を抱いている。カガメ大統領はルワンダ少数派の「ツチ」であるのに対し、ブルンジのンクルンジザ大統領は同国多数派の「フツ」。民族が異なる。

ルワンダ、ブルンジとも、フツとツチの比率は9対1とほぼ同じ。ルワンダでは1994年、ブルンジでは1993年、フツがツチを大虐殺する事件が起きた。犠牲者は両国合わせて100万人に上るといわれる。

マハマ・ブルンジ難民キャンプ(2015年8月撮影)。8月26日時点で4万3000人のブルンジ難民が暮らす

マハマ・ブルンジ難民キャンプ(2015年8月撮影)。8月26日時点で4万3000人のブルンジ難民が暮らす

マハマ難民キャンプには8月26日時点で4万2997人のブルンジ難民が暮らす。この約半数が男性。若者の占める割合が高く、ブルンジ反政府軍の戦力として格好のターゲットとなっている。リクルートされないようキャンプから逃げ出そうとした難民もいるという。

ブルンジ反政府軍へのリクルートの実態は、中東のメディア「アルジャジーラ」がマハマ難民キャンプでインタビューした際にも明らかとなった(放送日は7月24日)。インタビューに応じた難民はその後、命の危険に脅かされているといわれる。「リクルートについて今取材すれば、ルワンダ警察に追われる。難民も質問に答えれば命を狙われる」とUNHCRの職員は話す。

ブルンジ政府は「ルワンダ政府は、ブルンジ政府に抵抗する勢力を支援している」とルワンダ政府を非難する。だがルワンダ政府はリクルートへの関与を否定している。