東アフリカのLGBTを撮った写真展、新宿2丁目で5月9日まで!

写真家の藤元敬二さん。右の作品は、ケニアのカクマ難民キャンプで出会ったブルンジ人のゲイカップルを撮ったもの

ケニア、ウガンダ、ブルンジなど東アフリカのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー=性的少数者)の人たちを撮影した写真展が5月9日まで、東京・新宿2丁目の「コミュニティセンターakta」で開催されている。写真展のタイトルは「FORGET-ME-NOT」(日本語で「ワスレナグサ」の意)。ワスレナグサの花言葉は「真実の愛」だ。入場無料。

写真を撮ったのは藤元敬二さん。2014~15年にケニア北西部のカクマ難民キャンプを訪れ、ブルンジ人のゲイカップルと出会った。「ブルンジやルワンダのLGBTたちが社会から取り残されていることを私は知った。『僕たちがいたことを忘れないでほしい』と彼らから言われた言葉がいまも忘れられない」と話す。

藤元さん自身も実はLGBTだ。「私も26歳のころにカミングアウトするまで、苦しい時を過ごした。同性愛に厳しいといわれる東アフリカで暮らすLGBTたちの苦悩をどうしても撮りたかった」。つてはなかったが、ケニア、ウガンダへ渡った。LGBTを支援する現地のNGO「ISHTAR」にコンタクトをとり、まずはLGBTの知り合いをつくることから始めた。LGBTの人たちと友だちになって人間関係を築く中で、自然体の彼らの姿を撮影できた。

藤元さんが撮影地のひとつとして選んだのはウガンダ。同性愛行為に死刑を科す「反同性愛法」が2014年2月に成立したほど、LGBTへの差別がひどい国だ。同法はその半年後、国際社会から非難を浴びたため廃止された。藤元さんも、迫害され苦境に陥るLGBTの人たちをウガンダで見てきた。

だが撮影するうちに気付いたことがあるという。「ウガンダの同性愛事情は確かに残酷だ。だが国際的な注目が集まっているから、ウガンダ政府も下手な動きはできない。ブルンジやルワンダのLGBTの方が大変ではないか」(藤元さん)

ケニアのカクマ難民キャンプを藤元さんが取材した後、そこで出会ったブルンジ出身のLGBTたちが地元警察に逮捕された。藤元さんはすぐに、キャンプ内にある警察に駆け付けた。そこで目にしたのは、檻の中で助けを求める友人の悲惨な姿だった。

捕まった原因は、「ウガンダ人のLGBTは支援を受けている。だが自分たちブルンジ人は取り残されている」と手書きのメッセージを画用紙に書き、カクマ難民キャンプの中にある国連事務所の前で、それを掲げて立ったこと。それがデモ行為とみなされた。

社会から追放されるLGBTたちは難民キャンプに流れ着く。紛争難民に紛れ込み、いくばくかの支援が受けられるのでは、と一縷の望みをかけ避難生活を送る。しかし唯一の居場所である難民キャンプも安全ではない。ここでも他の難民や地元警察からの差別が待ち受けているのだ。国際社会の目が届かないブルンジやルワンダのLGBTたちは、どこに望みを見出せばいいのだろう。

国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)によると、同性愛が非合法とされている国は世界に75カ国、この45%、数にして34カ国国がアフリカだ。

ケニア西部のキスムで暮らす男娼

ケニア西部のキスムで暮らす男娼

ケニア西部のキスムで暮らす男娼。上に載せた鏡に写る男性と同一人物だ

ケニア西部のキスムで暮らす男娼。上に載せた鏡に写る男性と同一人物だ