寄付やボランティアを最もする国はインドネシア・最下位は日本、2020年世界寄付指数

経済が発展し続けるインドネシア。寄付やボランティアをするインドネシア人の精神はいまだに健在のようだ(Pixabayから引用)経済が発展し続けるインドネシア。寄付やボランティアをするインドネシア人の精神はいまだに健在のようだ(Pixabayから引用)

英国の慈善団体「チャリティーエイド基金(CAF)」はこのほど、世界114カ国を対象に、人に対する優しさや思いやりを数値化した「2020年世界寄付指数」を発表した。総合1位は2018年の調査に続きインドネシア。ケニア、ナイジェリアがこれを追う。評価基準は、調査日までの過去1カ月に「金銭の寄付をしたか」「ボランティアをしたか」「見ず知らずの人を助けたか」の3項目。

新型コロナウイルスが感染拡大しているにもかかわらず、インドネシアの総合指数は69%と、2018年の59%から上昇した。成人10人のうち8人以上が寄付をし、6人以上がボランティアに参加。これは、ともに世界で最も高い数字だった。

インドネシアはイスラム教徒が世界で最も多く暮らす国だ。イスラム教には「ザカート」と呼ばれる所有財産・収入の一部を貧者に施す宗教的義務(喜捨)がある。イスラム教の慈善団体に寄付すれば、貧しい人たちに分配される。

インドネシアの宗教当局は、新型コロナによる景気低迷を受けて困窮した地域の人たちを助けるため国民へ寄付を促した。その効果もあり、インドネシアの寄付率は世界1位となった。

ボランティアへの参加率の高さには、インドネシアに根付く相互扶助の慣習である「ゴトン・ロヨン」の思想がある。直訳すれば「自分がもっているもので相手を助ける」という意味。緊急時には島、民族、宗教を超えて助け合う。インドネシアは多民族・多宗教の国だが、それぞれの違いを受け入れる寛容な国民性につながっているという。

インドネシアに続くトップ10は2位から順に、ケニア、ナイジェリア、ミャンマー、オーストラリア、ガーナ、ニュージーランド、ウガンダ、コソボ、タイ。アフリカから4カ国、東南アジアからはインドネシアを含めて3カ国入った。G20(20カ国・地域)でトップ10に名を連ねるのはオーストラリアのみ。

2018年の総合ランキングでは上位だった4位の米国(2020年19位)、5位のアイルランド(同26位)、6位の英国(同22位)、11位のオランダ(同39位)、15位のカナダ(同35位)は大きく順位を下げた。いずれも先進国だ。対照的に、2018年には16位だったナイジェリア、37位のガーナ、50位のウガンダ、66位のコソボは今回トップ10入りした。

評価項目のひとつである「見ず知らずの人を助けた人が多い国」のランキングではアフリカ諸国の独壇場。上位10カ国のうち6カ国を占めた。これは、アフリカで浸透する思想で、他者への思いやりを意味する「ウブントゥ」が理由だという。人と比べたり、競ったりするのではなく、お互いを尊重することでコミュニティやつながりを重んじる伝統的なアフリカ流の生き方だ。

総合ランキングで最下位(114位)だったのは日本。ポルトガル、ベルギー、イタリア、韓国、モロッコ、レバノンが続く。日本が最下位である理由についてチャリティーエイド基金は、国民ではなく国が金銭的に援助するものという思考が強いことや、非営利団体の存在が比較的新しいためと分析する。このほか、レバノンは情勢不安や経済危機に直面していること、ベルギーは日本と同様に慈善活動が根付いていないことなどを挙げた。