800万人被災したバングラデシュ大洪水で深刻な食料不足、ボーダレス・ジャパンがコメやドライフードを配布

ジャマイプール県で8月29日、食料を配布した際の様子ジャマイプール県で8月29日、ボーダレス・ジャパンは食料を配った

7月中旬から8月中旬ごろまで続いた豪雨で145人が死亡、800万人以上が被災したバングラデシュで深刻な食料不足が起きている。この惨状を見かねて、ボーダレス・ジャパン(本社:東京)のバングラデシュ事業チームはコメやドライフードを被災地に配る活動を始めた。届ける場所は中部のシラジガンジ県、北部のジャマイプール県やウリグラム県の村などだ。

ボーダレス・ジャパンはこれまでに30万円の寄付をウェブサイトや店舗に設置した募金箱から集め、約300世帯に1週間分の食料を届けた。ただ食料不足はいまも続いており、同社はさらに約2000世帯に1週間分の食料を配るために200万円(第一目標金額の100万円は達成済み)をクラウドファンディングサイト「レディーフォー」を使って集めている。

■家も農地も流された

「洪水がひどかったシラジガンジ県やジャマイプール県の村では、多くの家が流され、農地がダメになり、家畜が死んでしまった。食料が足りない。食料が届くのを待っている状況だ」。こう話すのは、ボーダレス・ジャパンの出資を受け、バングラデシュで革製品を検品する会社「バングラデシュ・レザー・インスペクション」を立ち上げた仲渡春菜さん。食料を支援するバングラデシュ事業チームのメンバーのひとりだ。

問題は食料がないだけではない。村人の多くは移動手段をもっていないため、他の地域に行くことのも難しい。「主な移動手段のCNG(三輪車)の運賃は村人にとって高い。遠くに食料を取り行くのも時間がかかる。川の中州にある村では、船が流され、身動きがとれない人たちもいる」と仲渡さんは説明する。

また田畑がなければ、農家は生計を立てられない。仲渡さんは「村人の大半が農民。食料の支給だけではなく、今後は田畑の整備も支援できれば」と言う。

■150万人が食料必要

バングラデシュでは6~10月がモンスーンの季節にあたる。だがここまで大きな被害が出るのは異例だ。「池が氾濫する程度の被害は例年あるが、今年の被害はこれまでにないほど深刻」(仲渡さん)。バングラデシュ政府の発表(9月28日時点)によると、65万ヘクタール以上の農地が被害を受け、現在も150万人が緊急の食料支援を必要としているという。

今回のクラウドファンディングで集めた資金でボーダレス・ジャパンは、コメやパフライスなどのドライフード、豆、砂糖、浄水タブレットを購入する。「まだまだ村人は切羽詰まった状態にある。いただいたお金で一人でも多くの人に食料を届けたい」と仲渡さんは力強く話す。

シラジガンジ県の村で水没した田畑の上を小舟で移動している

シラジガンジ県の村で水没した田畑の上を小舟で移動している