失敗してもめげないシェムリアップ女子! 母と二人三脚で二度目の起業!

シェムリアップのプサー・ルーでソーセージ屋を営むダレンさん。店内にはぎっしりとソーセージが並ぶ

事業に失敗しても立ち上がったカンボジア人女性がいる。カンボジア・シェムリアップのプサー・ルー(ルー市場)でソーセージ屋を経営するダレンさん、40歳だ。ピンチに陥ったダレンさんに救いの手を差し伸べたのは母だった。

ダレンさんは、ソーセージ屋を営む家庭で育った。特別裕福ではなかったが、高校に進学。だが中退し、その後は母のソーセージ屋を手伝い始めた。祖父母、母と家族代々続くソーセージ屋で、ダレンさんは子どものころからソーセージの作り方や売り方を自然に覚えた。

母のソーセージ屋を手伝った後、プサー・ルーに店舗を借りて土産物屋を起業した。「ソーセージを売るよりも、土産物屋のほうが儲けられると思ったから」。だがその予想は外れる。土産物屋はすぐに潰れた。ダレンさんは無職になった。

そんな時に手を差し伸べてくれたのは母だった。ダレンさんのためにプサー・ルーの一角に、広さ20平方メートルほどの店を890ドル(約9万5000円)で買ってあげたのだ。2002年のことだった。ダレンさんは言う。「母は元々、プサー・ルーに店を出していた。私に店を買ってくれたタイミングで、自分の店を閉めた。私たちはソーセージ屋を一緒に始めることになった」

それから母と娘の二人三脚が始まった。母は売り物のソーセージを家で作り、娘のダレンさんは店でソーセージを売る。「これからも商売できると思ってホッとした」と当時の心境をダレンさんは振り返る。

「客がたくさん行き交うプサー・ルーなら、店は繁盛するだろう」。母の予測は的中し、ダレンさんにとって二度目の経営は軌道に乗った。シェムリアップにある複数の市場の中にある多くの小さな食堂にソーセージを売るほか、コンポンチャムやバンテイメンチェイなど別の州にまで販路を広げていく。

店頭販売でも、1時間ちょっとの間に十数人の客が来てはソーセージを買っていく。なかには大きなバケツ数杯の量を買う人も。ダレンさんは店頭に立ち、電話で注文を受け、商品のパッキング、さらに在庫の整理までを全て一人で行う。

母と娘の二人三脚は仕事だけにとどまらない。ダレンさんは朝の5時から夕方の5時まで働く毎日。ダレンさんがプサー・ルーで働く間、4歳の娘の面倒は母がみる。ダレンさんにとって子どもと過ごす時間は、帰宅してから寝るまでの数時間だけ。それでも事業は続けられている。一度は起業に失敗したダレンさんが再挑戦できた陰には母の存在がある。