ベナンに“ソーシャルでシックな家具職人”がいた! 月商は48万円

家具職人のマラクさん。自宅兼アトリエ事務所で撮影(ベナン・コトヌー)家具職人のマラクさん。自宅兼アトリエで撮影(ベナン・コトヌー)

約240万CFAフラン(約48万円)を毎月売り上げる“ソーシャルでシックな家具・装飾職人”が西アフリカのベナンにいる。マリウス・マラクさん(48歳)だ。彼が作るのは、木と鉄を格好良くミックスさせたソファやアフリカの仮面など。それだけでなく、貧しい人向けに、コンテナを用いた家を作って安い値段で売っている。

「自分は家具職人というより、アーティストだと思っている」と語るマラクさん。トレードマークであるベナンの伝統帽は100個近いコレクションをもつおしゃれな男性だ。

マラクさんが経営する家具・装飾品会社「トゥテンファーアクセサリー」は、ベナン最大都市のコトヌー市と隣のアボメカラビ市の2カ所にアトリエや工房を置く。従業員は9人で、製品はすべてオーダーメイドだ。ウリは、デザイナー兼製作部門のリーダーでもあるマラクさんの、鉄を加工して作り出す美しい曲線が特徴的な独自性に富んだデザインだ。

「まったく同じデザインはひとつもない。木や鉄を新しいものへと再び生まれ変わらせることが、私にとって創造するということ」。マラクさんは落ち着いた口調でこう語る。

製品ラインアップの中心は、鉄と木を使ったアンティーク調の家具や鉄製の仮面。なかでも高額な製品はソファで、値段は10万CFAフラン(約2万円)ほど。となりのトーゴからも、マラクさんの製品を買いに客がやってくる。

同社が売るのは実は家具や仮面だけではない。コンテナを使った家も作る。値段は1軒250万CFAフラン(約50万円)。ベナン国内で29軒売った。「ベナンには家を買う余裕がない人が多くいる。そんな人たちのために、比較的安く家を手に入れられるコンテナハウスの事業を始めた」と語る。

最近は隣のナイジェリアでもコンテナホテルを売った。4つのコンテナを不規則に並べてひとつの建物とすることで、価格が安いだけでなく、デザインにもこだわった。

マラクさんが家具・装飾職人の仕事を始めたのは24歳の時だ。スタートは遅かったが、独学で技術を身につけた。スキルアップするために自分で稼いだ資金でヨーロッパや東南アジアなどを2カ月旅行し、世界の家具を見て回ったという。

現在は60人のインターンを受け入れるなど、学生の教育にも熱心なマラクさん。夢は、ものづくりを仕事にしたいと若者が、製作やデザインのノウハウを学べる教室を作ることだ。

マラクさんの自宅兼アトリエ。家の設計から家具、装飾品までほとんどがマラクさん自身の作品

マラクさんの自宅兼アトリエ。家の設計から家具、装飾品までほとんどがマラクさん自身の作品