国際協力NGOの平均年収は女性346万円・男性331万円! JANICが実態調査

日本を代表するNGO「難民を助ける会」(AAR)がミャンマー・ヤンゴン市内で運営する「障がい者のための職業訓練校」日本を代表するNGO「難民を助ける会」(AAR)がミャンマー・ヤンゴン市内で運営する「障がい者のための職業訓練校」

国際協力NGOセンター(JANIC)は、NPO法人Green Projectと共同で実施した、NGOの有給スタッフの待遇の実態調査「NGOセンサス」の結果を発表した。有給スタッフの平均年収は341万円。性別でみると、女性346万円、男性331万円で、女性のほうが高収入だった。

性別・年代別で年収が最も高かったのは50代の女性で404万円だった。最も少なかったのは20代の男性の262万円。女性の年収は20代で288万円、30代333万円、40代378万円、50代で404万円とピークを迎え、60代で315万円となる。男性は20代262万円、30代310万円、40代382万円、50代375万円、60代345万円。40代と60代をのぞく世代で、女性の年収が男性を上回った。

NGOスタッフの年収は民間企業に比べて、かなり低いイメージがある。ところが今回の調査でわかったのは、NGOと企業の間で女性の平均年収に大きな差がないこと。国税庁の「平成28年度分 民間給料実態統計調査」によると、民間企業の女性の平均年収は373万円。その差は27万円だった。

NGOセンサスはまた、NGOの手当についても調査。通勤手当を支給するNGOは、今回の調査対象の96%、社会保険は96%、労働保険は94%だった。ただ残業手当を支給するのは62%、役職手当は54%、退職金は42%と低かった。住居手当や扶養手当・家族手当を支給するNGOはそれぞれ38%、35%だった。

育児・介護休暇規定を整備するNGOは全体の71%、ハラスメント規定は46%だった。ちなみに従業員30人以上の民間企業の場合、「平成29年度分 雇用機会均等調査」によると、育児休業規定をもつのは93.2%、介護休業規定は90.2%、ハラスメント規定は80.6%と軒並み高い。

またNGOスタッフの数を男女で比べると、女性が男性の1.7倍と圧倒的に多かった。最多は30代の女性で、全体の18.7%を占めた。次いで40代の女性の10.9%。

NGOスタッフの在職期間はおよそ3~4年で、民間企業に比べて短い。民間企業は、2017年5月に発売された就職四季報によると平均13.6年と長く、NGOのおよそ4倍だ。

退職理由は転職が79%で最も多かった。そのほか、契約満了(35%)、転居(25%)、健康上の理由(19%)、意見・方針の不一致(17%)、給与への不満(15%)などが続く。転職先は、他のNGO25%、国際協力団体(政府機関や国連など)18%、国内の問題に取り組むNPO15%、JICAボランティア11%と、69%が非営利部門だった。

NGOスタッフの学歴は、大学の学部卒60%、国内外の大学院修士・博士卒34%と全体の94%が大卒以上で、高学歴の傾向が顕著だった。NGOがスタッフを採用するタイミングは「欠員補充のため」が67%と多く、「定期採用」は1%にとどまった。

今回の調査は、日本の国際協力NGO52団体で働く659人への聞き取りに基づく。52団体の年間収入規模は平均3億6228万円、中央値で9502万円と、比較的大きなNGOに限定される。