UNHCRの「難民と進む20億キロメートル」キャンペーン、バンコクで6月16日にチャリティーマラソン!

「世界の著名人の中にも難民がいるように、難民は遠い存在ではない」。世界全体で難民問題に取り組む重要性を強調するUNHCRタイ事務所のジェニファー・ハリソン広報官「世界の著名人の中にも難民がいるように、難民は遠い存在ではない」。世界全体で難民問題に取り組む重要性を強調するUNHCRタイ事務所のジェニファー・ハリソン広報官

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が2019年1月に世界規模でキックオフした、難民を支援するための資金1500万ドル(約16億円)を集めるキャンペーン「難民と進む20億キロメートル~命を守るワンステップ」。この一環としてUNHCRタイ事務所は6月16日に、バンコクでチャリティーマラソンを開催する予定だ。UNHCRタイ事務所のジェニファー・ハリソン広報官は「タイの人たちにも、長くて過酷な道のりを逃れる難民のことを知ってほしい」と話す。

キャンペーンの名前にもある「20億キロメートル」とは、紛争や迫害で故郷を逃れた世界中の難民が2016年の1年間で安全な場所まで歩いた距離を足したもの。UNHCRが算出した。地球5万周分にも相当する。

UNHCRによると、シリア難民は主な避難先のトルコまで240キロメートル以上、南スーダン難民はケニアまで640キロメートル以上、ミャンマーのロヒンギャ難民はバングラデシュまでおよそ80キロメートルを歩くという。ちなみにUNHCRの現地支援スタッフが支援に奔走して歩く距離は1日8~16キロメートルにも及ぶ。

「難民と進む20億キロメートル」では、2019年の1年間でキャンペーン参加者がそれぞれ移動した距離を測り、それを足して20億キロメートルに到達することを目指す。

参加方法は主に2つある。ひとつは、「Fitbit」または「Strava」というフィットネスアプリを自分のスマホにダウンロードし、キャンペーンのウェブサイトと連動させるやり方。アプリを使うことで、ウォーキング、ランニング、自転車で移動した距離を自動的にアップできるというもの。またアプリを使わなくても、ウェブサイトに手動で書き込むことも可能だ。

もうひとつは、運動したり、UNHCR主催のスポーツイベントに参加したりした際の写真を「#難民と進むワンステップ」というハッシュタグを付けて、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで発信すること。

キャンペーンは世界27カ国で展開中だ。バンコクではUNHCRタイ事務所が6月16日に、6月20日の「世界難民の日」にあわせて、1000人規模のチャリティーマラソン「20億キロ・トゥ・セーフティ・チャリティーラン(2 Billion Kilometers to Safety Charity Run)」を開催する。

UNHCRタイ事務所の隣にある国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)ビルがスタート地点とゴール地点になる。走る距離は10.7キロメートルと5.5キロメートルの2つ。

参加者は、記念Tシャツとメダルがもらえる「レギュラーコース」か、それに加えてサンバイザーももらえる「VIPコース」のどちらかを選べる。参加費はそれぞれ550バーツ(約1900円)、1000バーツ(約3500円)。参加費は全額、難民への支援に充てられる。UNHCRによると、このイベントの狙いは、世界レベルのキャンペーンに参加する連帯感をタイ人にも感じてもらうことだという。

難民支援につながるイベントの開催は、タイが抱える難民問題の啓発にもつながる。タイには2018年12月時点で、難民キャンプにミャンマー難民が9万7577人、都市難民や庇護申請者が5612人、無国籍者が47万8843人いる。UNHCRタイ事務所のハリソン氏は「タイ国民が国内の難民、ひいては世界の難民を広く知るきっかけとなってほしい」と話す。

「難民と進む20億キロメートル」で集めた寄付金は、難民登録、一時滞在施設への受け入れ、食料・水、シェルター、医療支援や心理サポートなどの難民保護に使う。UNHCRの「グローバル・トレンズ・レポート」によると、2017年末時点で家を追われた人の数は全世界で6850万人と、タイの人口とほぼ同じ。世界では110人に1人が難民(国内避難民、庇護申請者を含む)だ。中東やアフリカで紛争が止まらないことから、難民の数は5年連続で増えている。