日本の難民認定率はたったの0.2%! UNHCR駐日代表「お金だけでなく難民も受け入れるべき」

日本の難民受け入れに期待を込めるUNHCRのダーク・ヘベカー駐日代表(東京・四ツ谷の上智大学で撮影)日本の難民受け入れに期待を込めるUNHCRのダーク・ヘベカー駐日代表(東京・四ツ谷の上智大学で撮影)

「多文化日本における難民認定希望者」(主催:上智大学)と題したシンポジウムがこのほど、都内で開かれた。登壇した国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)のダーク・ヘベカー駐日代表は、2017年の日本の難民認定率がわずか0.2%だったことを問題視。「2017年の日本のUNHCRへの資金援助は世界4位の約1億5240万ドル(約172億円)だが、お金を出すだけでなく、日本にはもっとできることがある」と述べた。

UNHCRによると、2017年に結果が出た日本の難民申請処理数は1万1361人。このうち難民として認定されたのはたったの20人だ。認定率は0.2%。この数字の異常な低さは、他国と比べても一目瞭然だ。欧米では難民を排斥する傾向が強くなっているものの、ヘベカー氏によると、UNHCRの2017年のデータでは各国の難民認定率はカナダ59%、ドイツ25.7%、米国40.8%だという。また同氏は「カナダでは、ビジネスマンが個人的に250万ドル(約1億8250万円)を出し、約300人の難民を支援した例もある」と説明した。

日本の難民認定率の低さは、国民の関心の低さとも関係する。難民支援協会の石川えり代表理事は「(シリアなどから100万人以上が地中海を経由して欧州へ向かった)難民危機が2015年に起きた際は、日本人の間でも難民への関心が高まった。NHKには『もっとシリア難民について放送してほしい』と問い合わせまであったと聞く。ところが3年経った今は、紛争や難民は遠い国で起きている出来事という認識になっている」と話す。

難民への日本人の関心の低さについてダーク駐日代表は「日本は島国。紛争地から遠いという地理的条件が関係ある。日本の普段の生活で難民を見ることはない。だから身近に感じにくいのだろう」と分析する。

ただだからといって難民を受け入れなくてもいいという論理にはならない。全世界の難民の数は6850万人。世界人口のおよそ100人に1人の割合だ。「世界は今、第2次世界大戦以来の難民危機を迎えている。ヨーロッパだけでなく、世界各国で同じように難民を受け入れるべきだ」とダーク駐日代表は主張する。

紛争地から遠い日本が参考にできるのが、韓国の例だ。韓国政府は2013年、アジアで初めてとなる難民法を制定した。手続き上の権利保障、処遇改善などを定め、難民の受け入れに積極的な姿勢を見せる。その情報を聞きつけ中東イエメンからの難民申請者数は近年、韓国で急激に増えているという。難民認定率はまだ約1%と低い韓国だが、難民へ開かれたルール作りは日本より進む。上智大学の小山英之教授は「日本もできるはず」と述べる。

日本が難民を受け入れる“土壌”は現時点ではない。だが見方を変えれば、今の状況は「チャンスだ」とダーク駐日代表は言う。「日本ではまだ、難民に対しての世論がなく、大きなムーブメントもない。だからといって難民排斥主義というわけでもない。日本には難民を受け入れるポテンシャルがある。もっと受け入れられる」と今後の日本の動向に期待を込めた。