フリーランスで国際協力を仕事にする原貫太さん、資金源は「ウガンダのごみ&手洗い活動」の発信!

都内で講演する原貫太さん(右奥)。「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」というアフリカのことわざがあるが、原さんが大事にするのは前者。「一人だと支援を必要とする現場に早く入ることができるから」と話す都内で講演する原貫太さん(右奥)。「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」というアフリカのことわざがあるが、原さんが大事にするのは前者。「一人だと支援を必要とする現場に早く入ることができるから」と話す

ウガンダ北東部のカラモジャ地域で、子どもたちと一緒にごみを拾い、手洗いを習慣化させようとする日本人がいる。25歳の原貫太さんだ。国際協力機構(JICA)やNGOに所属しないため、「フリーランス国際協力師」の肩書をもつ。原さんのワークスタイルの特徴は、自らの活動をコンテンツとしてブログやツイッターで発信することで、広告収入や寄付を得て、その資金をもとに活動を回すという自己完結性にある。

■下痢をなくしたい

カラモジャは、ウガンダの最貧困地域のひとつだ。首都カンパラから、でこぼこ道を車で走って10時間のところにある。活動するNGOは少ない。散乱したごみから出る汚水が原因で、下痢になって命を落とす子どもも多いという。

カラモジャの公衆衛生を改善しようと立ち上がったのが原さんだ。カンパラに拠点を置くNGO「ECO」をパートナーに、2019年1月から3つの活動を始めた。

1つめの活動は「啓発」だ。「散乱したごみにたまる汚水が、感染症を媒介する蚊の温床になることを知らない住民があまりにも多い」と原さん。ECOの代表であるサイラスさんと一緒に紙芝居を使って、公衆衛生がなぜ重要なのかをわかりやすく住民に教える。

2つめは「ごみ拾い」だ。カラモジャでは多くの住民が道端や空き地にごみを捨てる。その中には資源として回収できるペットボトルやビニール袋もある。原さんらは、分別の仕方を教えたうえで、地元の小学生とともにごみを拾う。

活動を始めて、見えてくる課題もある。「ごみを集めても、ごみ処理場やリサイクル場が機能していない。これは大きな問題」(原さん)

3つめは「手洗いの指導」。原さんは、手洗い装置(水の入ったタンクに蛇口がついたもの)や液体せっけんを持ち込んだ。小学生に手洗いを習慣にしてもらうことが狙いだ。

活動は小さいかもしれない。だが原さんは、助成金などにも頼らず、すべて自己資金で回している。

■月収は30万円以上

活動の主体となるのは現地のNGOであるECO。原さんの活動の肝は発信だ。活動をコンテンツとしてユーチューブやツイッター、ブログなどにアップし、資金を稼ぐ。

主な資金源はブログの広告収入だ。金額は月30万円ほど。「ウガンダで活動中もお金が入ってくるのは安心」と原さんは話す。ブログで取り上げるテーマはさまざま。カラモジャでのごみ拾いから、自身がうつ病になり、それを克服した経験、短期のウガンダ旅行プランのアドバイスまで、なんでもオープンに書く。

ツイッターにも力を入れる。フォロワー数は2019年6月末時点で1万4000人以上。ツイッターの自己紹介欄にpolca(SNSでのシェアを通じて寄付を募ることのできるサイト)のURLを貼る。「polcaでは300円から寄付できる。支援へのハードルは低くなっている」と原さん。こうした“セルフ・クラウドファンディング”も意外と大きな資金源だ。

本からの収入もある。早稲田大学の4年生だった2年前に自費出版した「世界を無視しない大人になるために」は今も1日1冊のペースで売れる。月に2万~3万円が手元に入るという。この本では、国際協力NGOテラ・ルネッサンスでインターンした経験や原さん自身がNGOコンフロント・ワールドを立ち上げた話などを書いた。

他にも講演会に登壇したり、メディアに寄稿したりと、収入源は多岐にわたる。平均月収はあわせて30万円以上だ。

国際協力に興味をもつ若者の間でインフルエンサーであるからこそ、活動(コンテンツ)・発信・資金を集めるというサイクルを回すことができる原さん。8月にまたウガンダへ渡る計画だ。