インドで10月2日から「使い捨てプラ製品」が全面禁止! 街中からごみをなくして犯罪もなくせるか

バティアさんは環境改善を訴えるデモ行進にも積極的に参加する

ごみがあふれるインド・コルカタで環境NGOを立ち上げ、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の啓発活動に力を入れる女性がいる。パキスタン難民の親をもつラタ・バティアさん(57歳)だ。使い捨てプラスチック製品の全面使用禁止をインド政府が発表したことを受け、「街中からごみをなくして犯罪もなくせるかも」とバティアさんは期待を膨らます。

インド政府は、独立の父マハトマ・ガンジーの誕生日である10月2日から、ポリ袋やプラスチック製のカップ、ストローなど6品目を全国的に使用禁止にする。違反すると罰金が科せられる。

この禁止令について、NGOグリーン隊(Green Legion)の代表を務めるバティアさんは「プラ製品が地球環境を破壊する脅威について多くのインド人が真剣に考え始めた。講演会のために最近訪れた企業では、オフィス全体でプラスチックの使用を抑えたエコフレンドリーに変えようと計画している」と話す。

インドでは2016年に廃棄物管理の規則ができた。だが実際には普及しなかったという。「今度こそ政府には厳密に実行してほしい。私たちも一組織として積極的に政府に協力したい」(バティアさん)

グリーン隊の活動の柱は3Rの啓発と街の緑化だ。学校や企業でワークショップをしたり、地域のエコ団体と一緒に木を植えたりする。バティアさんはまた、コルカタ以外のリサイクル施設を視察したり、講演会に飛び回る。

ワークショップでは、家庭の生ごみから堆肥を作り、それを使ってベランダで野菜を作ることを教える。「まずは自分ができることから始めた。ワークショップで、私の行動を大勢の人に広げ、ごみだらけのコルカタを循環型の街に変えたい」と意気込む。

バティアさんが活動に奔走するのはなぜか。「インドのごみ問題は単に道路がきれいか汚いかというだけでなく、人々のメンタルに影響すると気付いたから」

ごみと犯罪は実は密接な関係がある。米国の犯罪学者が考案した「割れ窓理論」によると、街が汚ければ軽犯罪が増え、軽犯罪が増えれば、殺人などの重犯罪が増えるという。ごみを減らすことは犯罪の抑止につながる。

在コルカタ日本総領事館の2014年の資料によれば、コルカタは犯罪が増加傾向にある。睡眠薬強盗や乗り物恐喝、窃盗、ひったくりが横行しているのだ。

ごみ問題の解決から街の平和を願うグリーン隊の現在の悩みはノウハウ不足。「日本の進んだリサイクル技術や、誰でもできるごみ再生の知識など個人からできるノウハウをぜひ教えてほしい。お金より情報がほしい」

ワークショップでは参加者自身が作ったエコグッズを紹介する

ワークショップでは参加者自身が作ったエコグッズを紹介する

子どもたちと緑化活動をするバティアさん

子どもたちと緑化活動をするバティアさん