お笑いといえばコントが定番の西アフリカ・ベナン、若手コメディアンが「スタンダップコメディ」に挑戦!

スタンダップコメディを披露するパピサック17スタンダップコメディを披露するパピサック17

コントが定番の西アフリカ・ベナンのお笑い界で、新たな芸風にチャレンジする若手コメディアンがいる。パピサック17(本名:イサク・トシアフォジ)だ。ふだんはコントグループに所属し、人気上昇中の彼は、ピンでスタンダップコメディ(ひとりでステージに立ち観客にしゃべりかける話芸)に挑戦し始めた。「お笑いの新時代を創りたい」と意気込む。

パピサック17が所属するのは、10人から成るコントグループ「レ・フォフォ・デュ・ベナン」(フォフォ)だ。フリーのコメディアンがネタを一緒に作ろうと集まったのがきっかけで結成された。リーダーはおらず、当初はグループ名すらなかった。TV出演の際に咄嗟に付けた名前は“ベナンのおやじたち”という意味だ。

フォフォが披露するのは、ベナンコメディの定番。ドラマセットで何人もの演者が繰り広げるコントだ。ウリは、持ちネタのバリエーションさ。暴力、ジェンダー、貧困などをネタにし、ひとしきり笑った後にネタとなったテーマについて、見た人に考えてもらうというのが狙いだ。時にはパピサック17自身も脚本や演出を手がける。

しかし彼は今後も「コント職人」だけを続けようとは思っていない。転機は動画で見たフランスのスタンダップコメディ。演者がひとりでマイク1本でステージに立ち、客席に向かってしゃべりかけるスタイルの話芸だ。世界各国のコメディバーなどで披露され、アフリカでも認知度を高めている。「かっこいい」と夢中になった。

「スタンダップコメディを流行らせ、ベナンコメディの新時代を創りたい」とパピサック17は夢を描く。スタンダップコメディは、ベナンのコメディークラブで開かれてはいるが、その認知度はまだ低い。ステージ上でひとりでネタを話し始めれば、単なるばかだと思われることもあるという。

地道にピンでの営業機会を増やし、多い月で5回スタンダップコメディを披露するパピサック17。ウケは上々で、ファンもできつつある。日常の出来事を取り入れ、なるべく観客に共感してもらえるネタ作りに励む。

取材を受けるパピサック17(左)。右は、英語とフランス語の通訳をするカミールさん(ベナン・アボメカラビで撮影)

取材を受けるパピサック17(左)。右は、英語とフランス語の通訳をするカミールさん(ベナン・アボメカラビで撮影)