関西在住ミャンマー人が日本語メロディーで民主化回復を訴え! 「忘れてない 悲惨な歴史」

中之島公園に集まった抗議集会の参加者ら。手にする花束には「平和」の意味が込められている中之島公園に集まった抗議集会の参加者ら。手にする花束には「平和」の意味が込められている

「許せない 国軍の残酷なその行為 忘れてない 我々 悲惨な歴史~~」

これは、ある歌の冒頭部分だ。

ミャンマー国軍が2月1日に起こしたクーデターに抗議する集会が2月14日、大阪市北区の中之島公園で開かれ、日本語のメロディーが響き渡った。ミャンマーで民主化運動が盛り上がった1988年にビルマ語で作詞された「カバマチェブー(ကမ္ဘာမကြေဘူ/ Kabar Ma Kyay Bu)」という歌の日本語版だ。

日本語の歌詞を作った神戸市在住のミャンマー人、醤油さん(仮名、39)は「違う言語で喋ったらうるさいと思われるだけ。日本語の歌で日本人にメッセージを送りたかった」と話す。

抗議集会に集まったのは、大阪、京都、兵庫などの関西に住むミャンマー人200〜300人。国軍に不当に拘束されたアウンサンスーチー氏らの解放と、民主主義の回復を訴えた。

ビルマ語や英語のほか、日本語でも「軍事独裁政権は認めない」などとシュプレヒコールが上がった。

集会を開く理由を知ってほしい

2008年に来日し、商社に勤務する醤油さんは夫と子どもとともに集会に参加した。

「今はコロナで日本人も大変。集会をすることに申し訳ない気持ちもある。日本の人たちは私たちの集会を見て、『(こんな時期に)何をやっているんだ』と思うかもしれない。だから、ちゃんと私たちが集会を開く理由を伝えないといけないと思った」

ミャンマーで民主主義が突如奪われた現状やミャンマー人の気持ちを日本人に伝えたいから、日本語で歌うことを思いついた醤油さん。

選んだ曲は、軍事独裁に抵抗して最後まで闘うことを歌った「カバマチェブー」。もともと米国のバンドの曲にビルマ語の歌詞をつけたもので、1988年の民主化運動とともにミャンマー全土に広がった。

当時の状況と今のミャンマーで起きていることを重ね合わせ、2月5日に日本語の歌詞を作った。ビルマ語の直訳では伝えられない箇所があったため、日本人に伝わるように言葉を少しアレンジした。

「カバマチェブー」(日本語版)

許せない 国軍の残酷なその行為
忘れてない 我々悲惨な歴史
倒せよう ミャンマー軍事政権
国家顧問 スーチー氏をただちに釈放!
大統領 ウィンミン氏をただちに釈放!
許せない ミャンマー軍事政権
頑張ろう 我々の全力で戦おう
諦めない 国民の勇気を見せよう
倒せよう ミャンマー軍事政権!

2月7日に神戸市内で開いた抗議集会で初めて歌い、好評を得た。SNSでも配信し、大阪でも今回歌うことに。新型コロナウイルスの影響や仕事の都合で東京の大規模デモには参加できない醤油さんだが、「日本人に届けたいから誰でも自由に歌ってほしい」と、日本語のカバマチェブーが広がることを願っている。

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