10月31日総選挙のマニフェストを読み比べ、「途上国支援」に積極的なのは公明党と共産党

投票を呼びかけるポスター

10月31日に投開票される総選挙を前に、8つの政党のマニフェストを「政府開発援助(ODA)」「途上国支援」の観点から読み比べてみた。最も言及が多かったのは与党では公明党、野党では日本共産党。

自由民主党

今回の総選挙で自民党は感染症対策、分厚い中間層の再構築など8つの分野で重点公約を掲げる。そのなかで、途上国やODAに触れたのは下の3つ。

・脱炭素技術で世界をリードするため、官民が連携して、二国間クレジット制度(JCM)などによる脱炭素・環境インフラの海外展開を促進し、パリ協定の目標達成と途上国・新興国における社会課題の解決に貢献する。

・国益に即したODAを質・量両面で拡充する。

・脱炭素化など世界の環境改善、防災、教育、貧困撲滅など、SDGs(地獄可能な開発目標)達成への取り組みを加速する。

公明党

公明党は、総選挙用の政策集に9つの分野の政策と、とりわけ力を入れる6つの分野の重点政策を掲げる。

国際協力についての記述は、政策集「安定した平和と繁栄の対外関係」と「気候変動対策 持続可能な地球環境」の項目のなかにあるが、いずれも重点政策としてはいない。

まず途上国支援の分野では下の言及がある。

・途上国の医療・保健分野における無償資金協力や医薬品・物資支援、技術支援、経済対策支援などの国際協力の一層の拡大を図る。

・ポストコロナの国際秩序づくりや保健・医療分野の国際協力を推進する。途上国の保健システム強化や保健・衛生分野での国際的な協力体制やルールづくりに貢献する。

・人間の安全保障の理念に立脚したSDGsの達成に向け平和構築、軍縮・不拡散、保健・感染症、女性の活躍、防災など日本が得意とする分野の取り組みを強化する。

・SDGs達成に向けた国内外の取り組みを一層進めるにあたっては、政府のSDGs推進本部のもと、引き続き、国際機関、民間企業、NGOやNPOなど多様なステークホルダーを力強く支援していくとともに、積極的かつ戦略的に連携していく。

・貧困や飢餓、感染症などの危機に直面するアフリカに対する人道復興支援を継続するとともに、TICAD 8(第8回アフリカ開発会議)の成功に向け、平和と安定のための関与および官民一体となった経済・社会開発のための国際協力を主導する。

・30 by 30(2030年までに陸・海域の30%を保護)の実現と、CBD-COP15(生物多様性条約第15回締約国会議)で決定される新たな世界目標である「ポスト2020生物多様性枠組」の実施に貢献し、自然と共生する世界の実現をめざす。また、国際的にもこうした地域の保全と持続可能な利用を推進するため、SATOYAMAイニシアティブにより、途上国における生物多様性国家戦略の策定・実施を支援する。

SATOYAMAイニシアティブとは、世界各地にある持続可能な自然資源の利用形態や社会システムを収集・分析し、地域の環境がもつポテンシャルに応じた自然資源の持続可能な管理・利用のための共通理念を構築し、世界各地の自然共生社会の実現に生かしていく取り組み。

このほか、インド太平洋地域の平和と繁栄の実現が日本外交の最重要課題のひとつであるとして、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)実現のための外交を進める。その観点から、東南アジア諸国連合(ASEAN)が2020年に示した「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実現を全面的に支援するとの記載がある。

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