10月31日総選挙のマニフェストを読み比べ、「途上国支援」に積極的なのは公明党と共産党

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日本共産党

共産党は政権交代、コロナ対策、4つのチェンジ(経済、気候変動対策、ジェンダー平等と個人の尊厳の尊重、平和外交)を掲げるとともに、85の個別政策を打ち出す。

個別政策のなかでも、特にODAについて、そのあり方から規模まで、幅広く言及する。前文でODAを、軍事的利益や短期的な外交上の利益に従属するものではなく、貧困の解消と、経済・社会・環境保全の調和をめざす経済協力へ転換する必要性について触れている。その上で、約20のODA関連政策を掲げる(下にそのうちいくつかを抜粋)。

・途上国の市民組織と連携し、基本的人権の保障、貧困の解消、格差の是正、男女平等、社会的に立場の弱い人々の保護、環境の保全といった課題に優先的に取り組む。

・日本のODAは、経済インフラ分野が半分(2019年、二国間)を占める。経済インフラ偏重をあらため、教育、保健、上下水道など社会セクターへの支援(14%)をODAの中心にする。

・後発開発途上国(LDCs)への援助の比重を高める。

・日本のODAの規模については、GNI(国民総所得)比では0.29%(2019年)で、先進国の目標として国際的に合意されているGNI比0.7%の実現に向けて努力する。

・ODAの基本理念や、ODAに関する国会の責任と権限を明確にし、NGOの関与の仕方とそれへの支援などを盛り込んで、ODA基本法を制定する。

・NGOの持つきめ細かい対応や、情報、政策提言などを生かせるよう、ODAの計画から実施までのあらゆるレベルで、NGOの自立性を尊重しつつ、パートナーとして参加を位置づける体制(予算、協議や情報発信の場の提供など)を整える。

・ODAに占める「ジェンダー平等主目的案件」の比率を現在の1%未満から4%へ引き上げる。とくにODAのジェンダー平等主目的案件に占める教育分野の比率を引き上げる。

このほか、新型コロナワクチンの研究をODAの対象とすることや、途上国のワクチン製造能力の強化を支援することにも触れている。

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