タイ社会は世代で分断されていた!「SNSを武器にデモを起こす学生」VS「デモを批判する親」

タイの至るところに掲げられているワチラロンコン現国王(ラマ10世)の写真(タイ北部のチェンライで撮影)タイの至るところに掲げられているワチラロンコン現国王(ラマ10世)の写真(タイ北部のチェンライで撮影)

外国メディアに洗脳?

SNSはまた、外国メディアによるタイ王室や軍事政権の報道を入手するための重要なツールでもある。「現在の若者はツイッターやフェイスブックを通じて、CNNをはじめとする外国メディアによるタイ王室や軍事政権の情報を知り、学校で習う内容と異なることに気がついた。その結果、王室を崇拝する愛国教育に疑問をもつようになった」(タンシンマンコン氏)

SNSの中でもツイッターは最重要の道具だ。デモの呼びかけだけではなく、王政批判にも使っている。タンシンマンコン氏は「ツイッターは匿名で投稿できる。この匿名性を利用して、王室を露骨に批判する人も少なくない」と述べる。

こうした若者の行動に対して、親世代の反応は冷ややかだ。「現在の若者は、CNNをはじめとする外国メディアや野党に洗脳されてしまっている、と考える親世代の人も多いようだ」とタンシンマンコン氏は話す。

改革は時間の問題か

学生たちの要求が実現するのは時間の問題との見方もある。「今の若者世代が選挙権をもつようになれば、状況が変わるかもしれないと望みをかけている人も多い」(タシンマンコン氏)

若者たちが今できることは、SNSでの発信とデモへの参加を通じて、軍事政権と王室の問題点を訴えることだという。「デモ隊ができることは(SNSとデモの)2つしかないかもしれない。政府が学生運動のリーダーを逮捕したり、罰金を取ったりすることもよくある。不敬罪が撤廃されない限り、これ以上の行動は厳しいだろう。今のタイ政治は楽観視できない状況にあるといえる」とタンシンマンコン氏は語る。

多くの札に刷られている肖像画が故プミポン国王(ラマ9世)からワチラロンコン現国王(ラマ10世)へと入れ替わった

多くの札に刷られている肖像画が故プミポン国王(ラマ9世)からワチラロンコン現国王(ラマ10世)へと入れ替わった

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