
ベナン南西部のドボ市トタ村に暮らすイブス・ウィウィさん(20)は小さな「道端ガソリンスタンド」の経営者だ。大学の学費を稼ぐため3年前に実家の土地の端で始めた。ガソリン価格が高騰する今、粗利(人件費を除く経費を売り上げから引いたもの)が2倍以上となり、この1月に2号店を開店。2024年12月には結婚もして幸せいっぱいだ。
苦学生が起業に挑戦
ウィウィさんがガソリンを売り始めたのは3年前、大学2年生の時だ。最大都市コトヌーにあるベナン最高峰の大学、アボメ・カラビ大学に通っていたウィウィさんは学費や生活費の工面に苦労した。
大学に払う年間の授業料2万CFAフラン(約5000円)に加え、一人暮らしの家賃が1カ月2万5000CFAフラン(約6000円)かかるなど、コトヌーでの学生生活はお金がかかる。1年目は、農家を営む父親の収入でまかなったが、2年目は回らなくなった。
そこでウィウィさんと家族が始めたのがドボ市の屋台でのガソリンの販売だ。「ガソリンはもうかると聞いていた」。ウィウィさんは市内のマーケット付近のガソリンの屋台を構える人から仕入れ先などのアドバイスをもらい、この仕事をスタートさせた。
必要だった初期費用は3万CFAフラン(約7000円)。ガソリンを調達することに加え、ガソリンを詰めるビンや大きなボトル、タンクが必要だ。売り場となる屋台は大工に頼んで作ってもらった。これらのお金はウィウィさんの父が農業で、母が家でコメ料理を作って売って稼いだものだ。家族が持つ、大通り沿いの土地の一角を活用することで費用を抑えた。
大学在学中、ウィウィさん自身がドボ市にいる間は自分が店先に立ったが、コトヌーにいる時は家族が代わった。収益は送金してくれたという。家族の助けを借りながら始めたガソリンスタンドの仕事は、2年で大学を辞めて村に帰ってきた後も続けた。現在は地元の友人も手伝ってくれている。

ウィウィさんの「道端ガソリンスタンド」。屋台から後ろに向かって200メートルほど先にある実家までの土地はウィウィさんの家族が所有する