【ダカールの寺子屋②】ストリートチルドレンが職業訓練を経て大企業に就職、「これで家族関係も良くなる」

ビラージ・ピロットが運営する「受け入れセンター」で、家具作りの訓練を受ける子ども。彼らの多くが手に職をつけ、センターを卒業していく(セネガル・ダカール州東部)

就職が家族の元に帰るベストな方法

だが貧しさから子どもを育てられない親もいる。そうした時はビラージ・ピロットが子どもを預かり、受け入れセンターで育てる。

受け入れセンターは寄宿制の学校のようなところだ。13歳以下はフランス語や算数を学び、14歳以上は建築、家具作り、電気配線工事、農業、縫製などの専門技術を習得する。

私が訪れたのは家具作りの教室。中をのぞくと子どもたちが真剣な眼差しで木片を削っていた。制作するのは椅子やテーブル、棚などの家具から、携帯電話ホルダーといった小物までと幅広い。ひときわ目立ったのが、色の違う木片を重ねて作ったおしゃれな椅子。技術の高さがうかがえる。完成した家具はカタログに掲載し、注文を受け付けられるようになっていた。

自分の作品を自慢げに見せてくれる子どもたち。技術とともに自己肯定感も高まっているようだった。

ビラージ・ピロットは子どもたちの就職先も斡旋する。セネガル国内のさまざまな会社とパートナーシップを結び、子どもたちを受け入れてもらうのだ。セネガル有数の飲料メーカーのキレーンや建設会社のエファージなど大企業が名を連ねる。これまで1800人以上の子どもがビラージ・ピロットを経て、社会へと羽ばたいていった。

就職することが家族の元に帰る最善の方法だ、とビラージ・ピロットのスタッフ、ファティは言い切る。

「家族の元に帰れないのは家が貧しいから。でも(きちんとした会社に)就職すれば貧困の問題は解消する。就職した後に家族と一緒に生活を始めたり、親との関係が改善する子も多い」(敬称略。続く)

壁を仕上げていく子ども。ビラージ・ピロットの受け入れセンターでは左官になるための技術も学べる(セネガル・ダカール州東部)

1 2